「父はいったんこうと決めたら、何があっても後には引きません」。娘(清原果耶)は父親(草彅剛)の性格をそう表し、相手を説得する。
今日の食事も事欠く生活の中で、正当に大金が入りそうなのに、娘の苦労をねぎらってやれるのに、善意で金は受け取れないと突っぱねる父親は凜(りん)としたたたずまい。囲碁勝負で負けたら受け取るというが、話の流れから負ける訳がない。
ここら辺から時代とは言え、父親の「正しさ」にイライラが止まらない。「武士は食わねど高ようじ」と言うが「貧すれば鈍する」とも言うではないか。などとモヤモヤが広がり始めたころ、物語は急展開を見せる。
高潔とは何か、正義は常に人を救うのか。
昨今の不寛容なことの多き時代にあって、浪人・柳田格之進の生き方はさまざまなことを示唆してくれる。それにしてもこの父娘のたおやかでしなやかなこと。「貧すれば鈍する」って何ですか?と返されそうだ。監督は白石和彌。
(スターシアターズ・榮慶子)
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正義は人を救うのか シネマQ、ミハマ7PLEX・公開中 碁盤斬り
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琉球新報朝刊
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