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G7、中国を名指し批判 企業の過剰生産に懸念 ロシア資産活用は継続協議


G7、中国を名指し批判 企業の過剰生産に懸念 ロシア資産活用は継続協議 G7財務相・中央銀行総裁会議のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ストレーザ共同=千野真稔】イタリア北部ストレーザで開かれた日米欧の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は25日午後(日本時間25日夜)、閉幕した。採択した共同声明は中国企業の過剰生産への懸念を表明。世界経済に悪影響を与えると中国を名指しで批判し、対抗姿勢を鮮明にした。制裁のために凍結したロシアの資産をウクライナ支援に活用する方法について協議を継続することで合意した。 (3面に関連)
 外国為替市場の過度な変動が経済の安定に悪影響を与えるとした過去の合意を再確認した。一致しやすい課題でG7の結束を示したが、中国とロシアの反発は必至だ。
 日本からは鈴木俊一財務相と植田和男日銀総裁が出席した。閉幕後に記者会見した鈴木氏は、G7が「公平な競争条件の確保は重要だとの認識で一致した」と強調した。
 欧米各国は、中国政府から巨額の補助金を受けた中国企業が大量生産した電気自動車(EV)などを安い価格で輸出し、自国産業が脅かされていると批判。米国はEVなど中国製品への制裁関税を強化する方針を示している。G7声明は「公平な競争条件を確保するための措置を講じることを検討する」とした。
 これに対し中国も対抗措置を取る構えだ。経済規模で世界1位の米国と2位の中国の対立が先鋭化すれば、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱は避けられない。
 ウクライナ支援を巡っては各国が凍結したロシア資産を押収できるとの意見もあるが、国際法違反との懸念もあり、資産から生じる利子を充てることなどを引き続き協議する。声明では、最終決定する6月の首脳会議(サミット)に向け「議論を前進させている」とした。また、ロシアを支援しているとして北朝鮮とイランを非難した。
 最近の円安ドル高を受け、日本は会議で投機的な動きへの懸念に言及していた。普及が進む人工知能(AI)の活用方法や気候変動問題も議題となった。