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組踊版ももたろう 沖縄風演出で楽しく


組踊版ももたろう 沖縄風演出で楽しく 桃太郎(手前中央・嘉数千李)にお供する猿(左・山入端依莉)、琉球犬(中央奥・堀川裕貴)、ヤンバルクイナ(右・伊藝武士)=3日、浦添市の国立劇場おきなわ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖芸大琉球芸能専攻OB会の創立20周年記念公演「だんじゅかりゆし」の3日は、浦添市の国立劇場おきなわで「組踊版ももたろう」を披露した。沖縄風にした物語で、組踊を楽しく紹介した。
 ウスメー(岸本隼人)とハーメー(謝名堂奈津)と暮らす桃太郎(嘉数千李)。かぐや姫(福島千枝)や浦島太郎(堀川裕貴)、眠り姫(伊藝武士)、一寸法師(山入端依莉)からキジムナーたちが悪さをしていると聞き、国頭に向かう。
 ハーメーからもらったサーターアンダギーを道中で出会う琉球犬(堀川)、猿(山入端)、ヤンバルクイナ(伊藝)に分け与えて仲間にしながら、国頭に到着した。飲んだくれて暴れるキジムナーたちを桃太郎が懲らしめた後で、かぐや姫が再び登場。キジムナーが本来はガジュマルの精で「悪さは本心ではない」と説得した。「心を入れ替える」と誓うキジムナーの姿も見て、桃太郎はキジムナーを信じて許す。
 一寸法師の箸が赤と黄の2色を施した「うめーし」など、随所で沖縄風の演出が楽しい。勧善懲悪にしない展開に優しさが伝わった。若手演者の演技も生き生きとしていた。
 組踊に先立って、琉球舞踊や古典音楽を解説付きで紹介した。琉舞の振りである「こねり手」を観客にレクチャーする場面もあり、会場が一体となって盛り上がった。南城市から見に来た呉屋航さん(8)は「桃太郎に出たヤンバルクイナが面白かった」と感想を語った。