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「住民に原告適格」国が上告 辺野古抗告訴訟 最高裁、受理判断へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 名護市辺野古の新基地建設工事で、辺野古周辺に住む市民4人が、県による埋め立て承認の撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求めた抗告訴訟を巡り、被告の国が28日、市民4人の原告適格を認めた福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)の判決を不服として、最高裁に上告した。最高裁は今後、国の上告を受理するかどうかを判断する。 (27面に関連)
 最高裁が国の上告を受理した場合は、最高裁小法廷で二審判決が審理される。
 不受理になれば、一審の那覇地裁への差し戻しを命じた二審判決が確定し、市民が国を相手取って提起した一連の訴訟では初めて、辺野古の埋め立てを巡る国交相裁決について実質的な審理が行われる。
 公有水面埋立法に基づく国交相裁決を所管する国土交通省・水政課によると、法務局の職員が28日午後1時すぎ、福岡高裁那覇支部で上告の受理申し立ての手続きを行い、受理された。
 同課の江口大暁課長は本紙取材に「関係省庁と協議した結果、原告適格の考え方について不服がある」とした。
 申し立てを行った理由の詳細については「今後、上告受理申立理由書の中で明らかになる」と述べるにとどめた。
 国の上告を受け、原告の金城武政さん(67)は「最高裁には、実質的審理から逃げている国の訴えを却下してほしい」と述べた。
 15日の二審判決で、三浦裁判長は「原告適格がない」として原告の訴えを却下した那覇地裁の判決を破棄。原告適格を求めた市民の訴えを「適法」として審理を一審の那覇地裁に差し戻すと判示した。判決理由では、原告側が、新基地建設に伴って起こり得る航空機の騒音や航空機事故などの「著しい被害を直接的に受けるおそれのある者にあたる」と判示していた。