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強制不妊「除斥」 統一判断へ 最高裁弁論 原告「救済判決を」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 旧優生保護法下で不妊手術を強いたのは憲法違反だとして、男女12人が国に損害賠償を求めた五つの訴訟の上告審弁論が29日、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)で開かれ、結審した。不法行為から20年の経過で原告の損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用するかどうかが最大の争点。大法廷は、旧法の違憲性も含めて夏にも統一判断を示す見通しで、判決期日は後日指定される。
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 一連の訴訟では、2018年以降に39人が全国12地裁・支部に提訴した。大法廷が審理対象としたのは札幌、仙台、東京、大阪、神戸の各地裁に起こされた5訴訟。最高裁は、障害のある人の傍聴が多数見込まれるとして、敷地内に手話通訳者を配置したほか、法廷内に発言の要約を映し出す大型モニターを設置する特別対応を取った。
 弁論で原告側は、除斥期間を適用して国を免責することは許されないと主張し、謝罪と賠償を求めた。国側は「例外を広く認めることは当然かつ絶対的な権利消滅という除斥期間の概念に矛盾する」と反論した。
 仙台訴訟原告で70代の飯塚淳子さん=仮名=は弁論で、16歳の時に手術を受けさせられたと語り「この被害を闇に葬らせてはならないと、歯を食いしばって訴え続けた。全ての被害者が救われる判決を」と求めた。東京訴訟の北三郎さん(81)=仮名=は「被害者の苦しみと正面から向き合って」と述べた。