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牛島司令官辞世 削除せず 防衛相 15旅団「問題なし」 識者「日本軍との連続性 削除を」 陸自HP掲載


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県内に駐屯する陸上自衛隊第15旅団が公式ホームページで日本軍第32軍牛島満司令官の辞世の句を掲載している件を巡り、木原稔防衛相は4日、琉球新報に削除や修正の考えを問われ、否定した。「誤解があってならず(防衛省としての意図を)丁寧に説明しなければならない」と述べるにとどめた。第15旅団は4日、琉球新報の取材に「問題は認識していない」として削除しない考えを示した。 (23面に関連)
 木原防衛相の発言に対し、自衛隊史に詳しい識者は「『日本軍との連続性を疑わせるものはあってはならない』と削除を指導すべきだ」と語った。
 木原氏は4日の参院外交防衛委員会で、高良鉄美氏(沖縄の風)の質問に対し、第15旅団の前身である臨時第1混成群が1972年に作成した部隊史を基にしているとし「沖縄の本土復帰直後の歴史的事実を示す資料として部隊の沿革を紹介するページに記載している」と説明。「情報発信の趣旨が正しく伝わるように努める必要はある」と述べた。
 木原氏によると、初代群長が牛島司令官の辞世の句を部隊史に寄稿していた。木原氏は寄稿について「県出身の初代群長が、沖縄県の発展や県民の平和な明るい生活・福祉の向上に寄与したいとの決意を示した訓示とともに、本人が強い思いを持って(牛島司令官の)辞世の句を併せて寄稿していた」と強調した。
 高良氏は「県民にとって牛島司令官は、沖縄を捨て石にした人物として広く知られている」とし、辞世の句を掲載したことは「極めて不見識、不適切」と指摘。「(木原)大臣、削除しませんか。(削除)してくださいね」と求めていた。
 第15旅団はこれまで「2018年にホームページを更新した時から(辞世の句を)掲載してきた」と説明していたが、4日夜の取材で「18年の開設時から」と説明を修正した。 (明真南斗、南彰)