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名作「ハンドー小」好演 「隆清群」15周年公演 演歌や琉舞も


名作「ハンドー小」好演 「隆清群」15周年公演 演歌や琉舞も 加那(奥・糸数きよし)を追って伊江島に訪れたハンドー小(手前・宮里良子)=5月19日、南風原町中央公民館黄金ホール
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 劇団「隆清群」の創立15周年記念特別公演が5月19日、南風原町中央公民館黄金ホールであった。名作歌劇「伊江島ハンドー小」を上演した。ほかに演歌歌手大石まどかの公演や、琉舞や民謡なども披露された。
 国頭村辺土名に住むハンドー小(宮里良子)は嵐の日に助けた伊江島の島村家の加那(糸数きよし)と心を通わせるが、加那には妻(仲本亜寿香)がいた。加那が何も告げずに伊江島に帰ったことにショックを受けたハンドー小。船頭主(大湾三瑠)やマチー小(安次嶺利美)の計らいで伊江島に渡るが、島では加那やその父に冷たくあしらわれる。絶望したハンドー小は城山で自ら命を絶つ。霊になって現れたハンドー小の情念により加那は幻聴に悩まされ体調を崩し、島村家(新垣正弘)は誤って加那の妻と妹(伊集春華)を殺してしまう。
 ベテランの宮里の演技に圧倒された。恋におぼれて周りが見えず、絶望する心境をかすれる声や表情で表していた。心優しく頼もしい船頭主を大湾が、ハンドー小に寄り添うマチー小を安次嶺が好演した。2人が島村家でハンドー小の無念を伝える場面では、観客から2人への声援や島村家への怒りの声が上がり、客席も一体となって芝居を盛り上げた。糸数が演じる加那は存在感があった。
 演歌歌手の大石まどかは「春待ち花」などで会場を沸かせた。多彩な演目を披露した15周年。座長の糸数が目指す「大衆芸能」の形を感じた。 (田吹遥子)