深い雪に閉ざされたアメリカのある寄宿学校が、冬休みを迎えようとしている。規律の厳しい監獄のような寮生活から解放され、自由を謳歌(おうか)できる、貴重で希少で最高の瞬間。完全に浮き足だった生徒たちによる、興奮絶頂の終業式から物語はスタートする。
そんな中、かわいそうにアンガスは母親から寄宿舎への居残りを言い渡されてしまう。閉ざされた空間に残されたのは3人。アンガスと、彼の世話役に任命された教員ポール、食堂の料理長メアリー。憤慨するアンガスの悪態を中心に、3人おのおのの時間が過ぎていくのだが、自然と彼らは心を通わせるようになる。
まるで習性のように、隣人の境遇が気になり、けがをしたら手当し、泣いていたら背をさする。笑顔にしようと努力までするようになる。劇的な事件がきっかけということでもない。人とはそういう生き物なのだとでもいうように互いに支え合う。そのことがなんだかとてもうれしく、心が温かい。監督はアレクサンダー・ペイン。(桜坂劇場・下地久美子)
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ 桜坂劇場・21日から 自然な支え合い
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琉球新報朝刊
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