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日銀、国債保有縮小へ 購入減額「相応の規模」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日銀は14日の金融政策決定会合で、月間6兆円規模で購入している国債の額を減らす方針を決めた。7月の次回会合で減額幅など今後1~2年程度の具体策を示し、速やかに実行に移す。会合後に記者会見した植田和男総裁は減額が「相応の規模になる」とし、国債保有残高が縮小すると説明した。3月に17年ぶりの利上げとなるマイナス金利政策の解除などを決めたのに続き、金融政策の正常化へ前進する。
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 日銀が国債購入を減らすと長期金利が上昇し、固定型の住宅ローンや企業の借り入れの負担が増え、経済に打撃となる恐れもある。
 会合では物価や景気をコントロールするのに使う政策金利は維持した。植田氏は次回会合での追加利上げにも言及し、円安ドル高基調が続く外国為替市場をけん制した。
 政策金利の無担保コール翌日物金利は0~0・1%程度に誘導する。物価と賃金がそろって上がるかどうか見極める。市場では日銀が次回会合でも政策金利を維持するとの見方が強いが、植田氏は経済や物価の情勢次第では追加利上げが「当然あり得る」と述べた。
 国債購入の減額は、債券市場で長期金利がより自由に形成されるようにするのが狙いだ。保有資産を段階的に縮小する手法は「量的引き締め」といわれる。購入減額には政策委員9人のうち中村豊明審議委員を除く8人が賛成した。
 長期金利が急騰しないよう、銀行や証券会社といった機関投資家から意見を聞く場を設け、減額の幅やペースを定める。
 日銀が決定内容を公表した後、外為市場では円売りドル買いが進み、円相場は一時1ドル=158円台前半まで下落した。日銀が減額の具体策決定を先送りし、低金利環境が当面続くとの見方が強まったためだ。植田氏が会見で、円安進行は「物価の上振れ要因であり、十分注視している」とし、追加利上げに含みを持たせると157円台に上昇した。
 日銀は金融緩和策の一環で国債を購入し続け、長期金利を低く抑え込んできた。