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国の指示権拡大 法成立 要件曖昧、自治介入の懸念


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 大規模な災害などの非常時に自治体に対する国の指示権を拡大する改正地方自治法が19日、参院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数により可決、成立した。9月下旬にも施行される。コロナ禍の混乱を踏まえ、迅速な対応をとれるよう備える。ただ行使の要件が曖昧で、地方自治への不当介入の懸念が残った。 (2、17面に関連)
 国の指示権行使は、災害対策基本法など個別規定がある場合に限られていた。改正法は、国が国民の生命保護のために「特に必要」と判断すれば、自治体に対策の実施を指示できるようにする。
 国と地方の関係を「対等・協力」と定めた地方分権の原則は維持。行使には閣議決定を経る。自治体から意見を求めることは努力義務にとどめた。衆院で国会への事後報告を義務付ける修正を行ったが、事前の国会承認は義務付けなかった。
 19日の採決前の討論で、賛成の立場で意見を述べた日本維新の会の高木佳保里氏は「既知の事態には市町が中心となり、そうでない事態には国が責任を持つ分担が重要だ」と抑制的な運用を求めた。