有料

規正法成立 抜本策先送り 透明性不十分 全野党反対 「裏金体質」解散迫る 党首討論


規正法成立 抜本策先送り 透明性不十分 全野党反対 「裏金体質」解散迫る 党首討論 改正規正法の残る課題
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた自民党提出の改正政治資金規正法は19日の参院本会議で可決、成立した。不透明な資金を代表する政策活動費は領収書の10年後公開を検討項目として盛り込んだものの、黒塗りの可能性は否定されないなど、裏金事件の再発防止や透明性確保の「抜け穴」に懸念が残る。賛成したのは自民、公明両党のみで、立憲民主党など全野党が反対した。岸田文雄首相が期待する政治不信の解消につながるかどうかは見通せない。 (3、6面に関連)
 23日の会期末を前に首相は後半国会最大の焦点だった規正法改正にこぎ着けた一方、相次ぐ修正で党内外に禍根を残した。政策活動費を監督する第三者機関の具体化など検討項目は多く、引き続き姿勢が問われる。
 首相は成立後「政治資金の透明性向上に実効性ある制度で、大きな一歩だ」と記者団に強調。検討項目や、先送りとなった「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)改革についても「調整を要するが、改革の決意を示した」とした。
 改正規正法は(1)「いわゆる連座制」として政治資金収支報告書の「確認書」交付を議員に義務付け(2)パーティー券購入者名の公開基準額を「5万円超」に引き下げ(3)政党が党幹部らに支出する政策活動費の使途項目別金額・年月を公開(4)国会議員関係政治団体の収支報告書のオンライン提出義務化―などを規定した。施行は原則2026年1月1日。パーティー券基準は27年1月とする。
 一方、国会審議の中で政策決定への影響が指摘された企業・団体献金は禁止されず、政策活動費も温存される。領収書10年後公開は、規正法の時効5年との整合性が取れていないと指摘された。衆参両院によると法案の実質的な審議時間は合計25時間50分だった。