やはり、全ての武器を楽器にするしかないよ。戦争のバカバカしさに辟易(へきえき)し、いら立ちが増幅して思考を追い越した末、喜納昌吉さんのあの言葉こそが真理だと、実現方法を考えて挫折して…。6月23日が近づき、心と頭が一段と忙しい。
わが身を形成するDNAの記憶の中に、あの戦争への怒りと悔しさと慟哭(どうこく)が刻まれていることを再認識し、幼かった頃に見た沖縄は、今よりもっと傷跡が生々しかったことなんかを思い出す。近代化を装い、島の上に大きな建物を積み上げ、大地に刻まれた記憶ごと塗り替えようったってそうはいかない。こっちはDNAレベルで覚えてるんだから。
今年は特に心の揺らぎが激しい。発掘したご遺骨に触れる「ガマフヤー」、具志堅隆松さんの優しい手に出合ったからだと思う。「なぜ掘るのか」。映画は短い問いを投げかける。語り尽くすなんてできないたくさんの答えと思いを、口数の少ない隆松さんのたたずまい、一挙手一投足が雄弁に語る。監督は奥間勝也。
(桜坂劇場・下地久美子)
有料
骨を掘る男 桜坂劇場・あすから DNAの中にある怒り
![骨を掘る男 桜坂劇場・あすから DNAの中にある怒り](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2024/06/RS20240619G00186010100-scaled.jpg?resize=615%2C410&crop_strategy=smart)
この記事を書いた人
琉球新報朝刊
![Avatar photo](https://ryukyushimpo.jp/uploads/2023/09/favicon-21x21.png)