スクリーンの中で自由自在に全身を操り、毛穴まで演技している役者さんたちの姿に、個性と才能と熱を感じるとき、それだけで映画が楽しくなる。本作では、正義感溢(あふ)れる刑事を演じるソル・ギョングさんはもちろん、警察にはびこる悪の面々の、バラエティーに富んだ秀逸な形相に終始見入ってしまう。
韓国警察の想像を絶する手抜き捜査と暴力的な尋問により、悲しい冤罪(えんざい)事件が生まれた、という実話が元になった本作。誤認逮捕され、そのまま服役を余儀なくされた3人の少年たちが、17年越しに無罪を勝ち取るまでの道のりの過酷さを表現しつつ、映画という娯楽に昇華させることに、大勢の人々の力と熱量が注がれている。
特に、腐り切った警察内部に対し、観客をどれだけへきえきさせられるか。そんなことに挑戦したような役者陣の立ち居振る舞いは絶品。湧き起こる「許せない」という感情が、無罪というカタルシスをより快感にする。監督はチョン・ジヨン。
(桜坂劇場・下地久美子)
有料
罪深き少年たち 桜坂劇場・あすから 無罪への過酷な道のり
![罪深き少年たち 桜坂劇場・あすから 無罪への過酷な道のり](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2024/07/RS20240710G00136010100.jpg?resize=615%2C410&crop_strategy=smart)
この記事を書いた人
琉球新報朝刊
![Avatar photo](https://ryukyushimpo.jp/uploads/2023/09/favicon-21x21.png)