解体される瞬間までの首里劇場を舞台に、写真家の石川真生さんを撮ったドキュメンタリー映画「劇場が終わるとき」が、9月21日に桜坂劇場で公開される。本作は、1年半かけて撮影した真喜屋力監督の自主企画作品。全国のミニシアターなどで公開を進めるため、9月6日までクラウドファンディングを実施している。国内外の映画祭への出品も予定している。
脚本はなく、出演者が何者かの説明もなく、ドキュメンタリーらしい社会的なメッセージもない。あるのは、劇場を通して見える人間の生きざまだ。
「首里劇場調査団」の一員でもある真喜屋監督は、資料ではなく主観的な記録で劇場を残したかったという。石川さんが「(故金城政則)館長のにおいがあるさ」とつぶやき、劇場内を移動しながらシャッターを切る。その姿を真喜屋監督が追いかけiPhoneで撮影する。映画関係者に「よくここまで首里劇場を撮れたな」と言われるほどに、風格、わびしさ、染みついた歴史を撮った。
首里劇場は1970年代以降、成人映画館として糊口をしのいだ。金城館長が父親から2002年に継ぎ、後ろ指を指されながらも劇場を守った約20年には生きざまがあった。石川さんも、ステージ4のがんを患いながら写真を撮り続けている。真喜屋監督が「2人のあまり語られていない部分」を撮ったとき、運命にあらがう姿が重なって見えてくる。
これまでも県外での公開に挑戦している真喜屋監督だが、今回の作品を「分かりやすくローカライズせずに、その土地の変なままで(全国に)出した方が、知らない土地で共鳴されたりして広がっていくこともある。ドキュメンタリーの幅は広いと思う」と語る。
集まった資金は、ポストプロダクション費および、公開に向けた諸費用に充てる。特製ポストカード、全国共通劇場鑑賞券、エンドロールの名前掲載などのリターンがある。詳細はQRコードから確認できる。
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映画「劇場が終わるとき」公開へ 全国向けCF実施
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琉球新報朝刊
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