<金口木舌>海のありがたさを考える


<金口木舌>海のありがたさを考える
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄では古くから、海の向こうに理想郷「ニライカナイ」があると信じられてきた。ニライカナイから訪れる神は人々に幸福などをもたらすとされる。ウチナーンチュは深い祈りを込めて海を見つめる

▼いつの時代も、海から届くさまざまな恵みが暮らしを豊かにする。食卓に並ぶ魚介類だけではない。海の生物多様性は地球環境の礎となって多くの生命を支える。海洋エネルギーを活用した発電の研究も進む

▼海の向こうから訪れる観光客は県経済を成長させる。アジアに近い沖縄は地理的優位性を生かし、外国客を呼び込める。航空路線に加え、クルーズ船が寄港すると県内各所がにぎわう

▼海の現状に目を向けると、温暖化による生態系の変化や海洋汚染など課題が山積する。私たちは海から恵みを受けるばかりで、保護の取り組みをおろそかにしていないか

▼きょうは「海の日」。海の恩恵に感謝し、環境を守る重要性を考えたい。ニライカナイに祈るウチナーンチュは海の素晴らしさを誰よりも知り、世界に発信する役割を果たせるはずだ。