<金口木舌>国が守るべきものは


<金口木舌>国が守るべきものは
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 79年前のきょう、日本はポツダム宣言受諾を決めた。ここから8月15日正午に天皇がラジオを通じて終戦を告げる「玉音放送」に至るまでを故半藤一利さんが「日本のいちばん長い日」に著し、2度映画化された

▼降伏を阻止しようと、一部の陸軍将校らがクーデター未遂事件を起こした。皇居を占拠し、放送のために天皇の声を録音したレコードを奪おうとしたが探し出せず、軍首脳部の説得にも失敗、計画を断念した


▼映画の中で将校が叫ぶ。「命でも惜しくなったのか。地球上から日本が消えてしまってもいいというのか」。国体護持が最優先の時代。ここに国民の姿はあったか


▼陸上自衛隊第15旅団はホームページに第32軍牛島満司令官の「辞世の句」を掲載している。組織として日本軍との連続性は否定しながらも、削除を求める声には応えていない


▼半藤さんは日本軍について「天皇の軍隊であって、国民の軍隊ではない。民衆を守るのは使命ではない」と述べた。沖縄にも「軍隊は住民を守らない」という教訓がある。あすは終戦の日。改めて問う。日本軍とは連続しない自衛隊は何を守るのだろうか。