<金口木舌>背筋が凍る「サブスク」


<金口木舌>背筋が凍る「サブスク」
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 定額利用サービス「サブスク」の値上げが続く。動画配信のみならず、運動不足解消のために通うジムまで。利用回数を増やして元を取ろうとするのは貧乏性の表れか

▼教員の働き方改革を議論していた中教審は、残業代の代わりに給与に上乗せする「教職調整額」の引き上げを柱とする答申を出した。「定額働かせ放題」とやゆされ、廃止も求められていた制度を維持して活用とは、首をかしげる

▼「教育行政にはコスト意識がない」と、ある教育学者が漏らしていた。民間企業は人員や経費を気にし、新規事業は計画的に行う。だが、教員は定額で働く。人員も費用も気にせず、あれもこれもと仕事を増やした結果が現状だ、と

▼教職調整額は3倍超の13%となる見込みだ。残業時間に換算すると月20時間程度だが、実際の平均残業時間は小学校で41時間、中学校で58時間。引き上げ額は高いように見えて割に合わない

▼「定額」「使い放題」。お得に見える言葉も、働き方のことなら背筋が凍る。「教育は人なり」という言葉を引いた今回の中教審答申。教員のための改革につながるのか、しっかり監視しておこう。