<金口木舌>保育園の明かり


<金口木舌>保育園の明かり
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 保育園への子どものお迎えで、時間に間に合わず慌てたことはないだろうか。暗い夜道を急ぎながら、一人残るわが子を想像し、自責の念に駆られる。子どもが幼いころ、そんな経験をしばしばした

▼いざ園に到着すると、わが子は保育士と楽しそうに遊んでいた。早く帰りたいであろうに、こちらをねぎらってくれる保育士には頭が下がった。親子共に保育園は心のよりどころだった

▼夫婦共働きが大多数となり、家族の少人数化が進む中、子育てを支える保育園も多様化している。認定こども園、小規模、事業所内保育所など。親の就労に関係なく預けられる「誰でも通園制度」も試験的に始まった

▼保護者の信頼を裏切るような行為ではないか。那覇市など3市で7保育園を運営する社会福祉法人が虚偽の保育士配置を報告し、自治体から給付金などを不正受給していた。やるせないし、許せない

▼子育てに懸命だった頃を思い出す。夜道の向こうに保育園の明かりが見えると、安堵(あんど)の気持ちがこみ上げてきた。あの明かりは、仕事と子育ての間で揺れる心を導いてくれた。曇らせてはいけない。絶やしてはならない。