コアジサシ、資材置き場で育む愛 絶滅危惧種 那覇市が作業配慮へ


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小魚の“プレゼント”を口にくわえながら雌(下)に求愛するコアジサシの雄=2日午前、本島南部(ジャン松元撮影)

 沖縄県や那覇市が管理する本島南部の資材置き場で、絶滅危惧種の渡り鳥コアジサシの群れが繁殖している。近年は埋め立てによる海岸の減少などでこうした広い陸地でコアジサシが繁殖する事例が増え、環境省は2014年にコアジサシ繁殖地の保全・配慮指針を策定した。7月下旬ごろまで繁殖期は続くため、土砂を管理する那覇市は影響を与える作業を控える考えだ。

 県自然保護課によると、現場では約80羽のコアジサシが確認された。2日は卵を温めたり、ひなに餌を運んだりする親鳥の姿が見られた。魚をくわえた雄が雌に求愛し、交尾するつがいもいた。

 県自然保護課は6月上旬に沖縄野鳥の会から繁殖の情報提供を受けた。資材置き場は県の管理だが、土砂は那覇市が管理するため、市にも情報提供した。市によると、8月から現場を囲んだり、赤土流出防止のために土砂へ種子を吹き付けたりする作業を予定しているが「鳥の様子を見ながらタイミングを検討する」としている。

 沖縄野鳥の会の山城正邦会長によると、この場所では数年前もコアジサシの繁殖が確認された。「こうした繁殖が予測される場所では事前の対応など工夫も求められる。環境省の指針ができて行政の対応も良くなった。人が近づくと繁殖が失敗するので、そっとしておいてほしい」と話した。