首里城堂々、模型で再現 ルネッサンスリゾート・宮平さん、レストランに展示


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
首里城の模型と、制作した宮平世一さん=8月28日、恩納村のルネッサンスリゾートオキナワ

 【恩納】沖縄県恩納村のホテルルネッサンスリゾートオキナワに勤務する宮平世一さん(64)が首里城正殿の模型を制作した。昨年10月の首里城火災をきっかけに、約4カ月を要して完成させた。実物のおよそ25分の1の大きさで、装飾の絵柄や柱、格子など細部まで精密に再現している。同ホテルで琉球料理などを提供するレストラン「彩(いろどり)」に展示しており、来店客などの注目を集めている。

 首里城正殿の火災を受けて「再建に向けてホテルとしても何かできないか」と、模型を作って観光客に首里城をPRすることになった。手先が器用で、ホテルで使う大道具などを製作してきた経験もある宮平さんに、白羽の矢が立った。

 宮平さんにとって首里城は二十数年前に社員旅行で訪れた思い出の場所だった。昨年の正殿焼失のニュースも「現実の映像とは思えなかった」と衝撃を受けた。

 模型作りは設計図もない中、写真集やテレビ映像などを参考に進めた。写真や映像を見ていくうちに「燃えてから関心を持っても遅い」と喪失感を強めた。木材のほか、ホテルの改装で出た廃材、100円ショップで購入した材料などを活用した。

 高さは82センチ、幅は150センチと圧巻の大きさだ。最も難しかったのは屋根に張り巡らされた赤瓦の再現だ。縦の列と横の列を垂直に交差するよう調整するのに数カ月を要したという。完成した模型を目にして「最初は『できるはずがない』と思ったが、模索する中でいいものができた」と誇る。

 「彩」では「東道盆(とぅんだーぶん)」などで料理を提供しており、首里城の模型はレストランの雰囲気の演出に一役買っているようだ。写真を撮る客も多くいるという。宮平さんは「美しい首里城を写真などから細かい部分も精密に再現した。その様子を見てほしい」と話した。
 (塚崎昇平)