10カ月ぶり「待ってたよ」 秋の全島闘牛大会 会場から大声援


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「第113回秋の全島闘牛大会」の熱戦を見守る観客ら=8日午後、うるま市石川多目的ドーム(新里圭蔵撮影)

 【うるま】待ちに待った闘牛大会だ。土煙が舞い上がり、場内には鈍く低い音がこだまする。春と夏の大会が見送られ、10カ月ぶりの開催となった秋の全島闘牛。久しぶりの大会開催の喜びをかみしめるように、観客は勝敗の行方に一喜一憂した。

 中量級では、王者の古堅モータース☆黄龍が得意の掛け技を駆使し、36分56秒の長期戦の末に、若手で最も勢いのあるホホジロ力○志(注・○の中に志)の挑戦を退けた。6歳の若牛に対し、何度も土俵際に押し込めるベテラン牛の踏ん張りに、会場から「黄龍、行けー」との声が飛び交った。最後はホホジロ力○志がスタミナ切れを示す舌だしの後に敗走した。両牛の奮闘に、会場からはこの日一番の拍手が送られた。

 この試合で引退し、種牛となる黄龍の牛主・佐久川政秀さんは「今まで応援ありがとう。次もどんどんチャンピオン牛を出します」と観客にお礼を述べ、黄龍の頭を何度もなでた。

 軽量級では、100キロ以上の体重差を物ともせず、ファイティング大吉が積極的な攻めで現王者の雷神逞真王に勝利した。無尽蔵のスタミナを誇り、強靱(きょうじん)な首力で押し込む大吉に対し、逞真王が柔軟な体で切り替えのうまさを見せたものの、6分14秒で勝敗が決まった。

 2度目の挑戦で悲願の全島一に輝いた、大吉の牛主・我如古満さんは「掛けを封じ込めば勝利できると思っていた」とあふれ出る涙を拭い、喜びを語った。