「いつも仲間がそばにいる」両腕がない小学生、6年間に感謝 全卒業生へ特別賞


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「特別賞」を受け、作文を読み上げた村田光さん(右から2人目)と、表彰状や記念パネルを持つ卒業生代表=19日、浦添市屋富祖の市立仲西小学校

 【浦添】19日に行われた浦添市立仲西小学校(石川博久校長)の卒業式で、生まれつき両腕がない村田光さんに特別賞が贈られた。同校と同校PTA(上里幸秀会長)が光さんの6年間の頑張りと、光さんを支えた110人の仲間、卒業生111人全員をたたえ「特別賞」となった。

 卒業生を代表して光さんは「『手なし人間』とも言われたことがあるけど、今はいつもぼくを支えてくれる家族、いつも一緒に助けてくれる仲間がいる。だから、ぼくは学校生活を楽しめている。いつか恩を返したい」と、自身が書いた作文を読んだ。

 光さんは先天性両腕上肢欠損で両腕がない。母の志津香さん(43)が妊娠中に受けた検診で「腕が見えない」と医師から告げられた。夫の真吾さん(44)と共に、出産まで受け入れる心の準備をし、体重約2200グラムの元気な光さんが誕生した。「光は何も悪くない」。みんなで育ててきたと志津香さんは振り返る。

 小学校入学時、特別支援学校なども視野に入れたが、2学年上の兄・竜馬さん(14)が通う同校への進学を光さん自身が選んだ。入学後、「手なし人間」と言われた。一緒にいた竜馬さんが激怒し、光さんを守った。光さんは「腕がないのが当たり前」とあまり気にしていない様子だったと両親は話す。学校では、光さん専用の机や踏み台を使って学校生活を送った。足の指に挟んで筆や彫刻刀も使いこなした。着替えや給食時など一人でできないことは友だちが手助けした。

 クラスメイトの本村凛さん、元山功誠さん、石橋優希さんは「優しくて頼りになり、人のことを考えられる人。勉強で困った時に助けてくれる。ずっと仲良くしたい」と話した。

 学校生活が楽しかったという光さんは仲西中に進む。友人たちには「いつまでも忘れられない大切な仲間。ありがとう。これからもよろしく」と話し、母の志津香さんへは「毎日支えてくれてありがとう。これから先もよろしく」と伝えた。同校は、「特別賞」の記念パネルを校長室前に掲示し、模範となる本年度の卒業生の姿を後輩に伝えていく。
 (中川廣江通信員)