隠れた名所が区画整理で…「公園の桜を伐採しないで」署名3386筆、浦添市に提出


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見頃を迎えるあじさい公園の桜=2021年2月

 【浦添】あじさい公園(浦添市安波茶)の緑化活動に取り組む「あじさい公園愛護会」の大城幸男会長と大平自治会の佐渡山宏会長らは17日、浦添市役所に松本哲治市長を訪ね、区画整理に伴い伐採が予定されている公園内の桜の存続を求める要望書を提出した。市内外から集めた桜の存続を求める署名3386筆も提出した。

 あじさい公園は浦添市の隠れた桜の名所として、毎年1月下旬から2月中旬にかけて、園内を流れる小湾川沿いの桜並木が見頃を迎える。小湾川は、県が管理する2級河川。2002年、周辺住民を中心に結成された愛護会が同年に桜の苗木約50本を植樹した。愛護会は日頃から緑化活動のほか、河川の保全活動にも取り組んでいる。

松本哲治市長(前列中央)に桜の存続を求める要望書を提出したあじさい公園愛護会の大城幸男会長(前列左)と大平自治会の佐渡山宏会長(前列右)=17日、浦添市役所

 公園内には桜以外にもさまざまな草花、花木が植えられているほか、チョウ園も設置されており、オオゴマダラなど多種多様なチョウが公園内を飛んでいる。愛護会の活動もあって、最近では周辺住民だけではなく、市外からも桜やチョウを目当てに多くの人が公園を訪れるという。

 しかし、公園周辺で進められている市の区画整理事業(南第二地区)に伴い、川沿いの桜14本が伐採される予定となっている。市担当者は愛護会の要請を受け「桜の移植を含めて県との協議を続けたい」と述べた。松本市長は「われわれだけで決められる問題ではない。県にも皆さんの要望を伝えたい」と話した。

 桜が植えられている小湾川沿いは、県が管理する未舗装の通路となっている。今後、区画整理に伴い市が道路(幅6メートル)として整備する。市によると、愛護会が要望する道路の線形変更は今後の区画整理に影響を及ぼすため、難しいという。

 要請で大城会長は「浦添市でも数少ない自然環境があるあじさい公園はオオゴマダラが舞い、市民の癒やしと憩いの場となっている。市の宝物である桜を残してほしい」と語った。