希少種アオウミガメの産卵を確認 行楽客に注意呼び掛け 沖縄・国頭の海岸


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嘉陽宗幸さん(中央)と産卵後のカメをねぎらう山本葉月さん(左)、樹一郎さん(右)=2日、国頭村佐手海岸

 【国頭】貴重なウミガメの産卵場所として知られている沖縄海岸国定公園区域内の国頭村佐手海岸で2日、長年、ウミガメの保護・調査を続けている、日本ウミガメ協議会会員で自然公園指導員の嘉陽宗幸さん(67)=同村桃原=が、希少種のアオウミガメの産卵を確認した。嘉陽さんが同日午前6時30分ごろ、調査中に見つけた。ウミガメのサイズは甲長97センチ、甲幅78センチで、これまでの調査で2番目の大きさだという。調査を続けた20年間で同海岸でアオウミガメの産卵は初めて。アカウミガメの産卵確認から5年ぶりという。

 嘉陽さんが国道から海岸を見渡したところ、上陸したウミガメの足跡を発見。その先の草むらに産卵中のアオウミガメを見つけた。「通常は、夜間に産卵が見られるが、現場は砂浜より離れた場所で砂がほとんどなく、10センチ前後の石が多く転がり、比較的地盤も固いことから、産卵場所の土の掘り起こし作業、産卵後の埋め戻しに時間を要し、朝方の産卵になった」という。

 ウミガメの生態研究のための金属のタグ付けなどの作業は佐手の住民が手伝った。ウミガメは住民らに見送られ、7時40分ごろに無事大海原へ戻っていった。その後、産卵された卵を確認、カメの産卵場所である目印を付けて保護対策をした。

 国頭村内海岸での今年の嘉陽さんの産卵調査では、4月15日に1件目が発見され、今回のアオウミガメの発見が100件目となる。内訳は、アオウミガメ24件、アカウミガメ76件、タイマイ0件。その他、調査が行き届かない場所にも多くの産卵が予想されるという。

 ウミガメを初めて見たという山本葉月さん(辺土名小4年)は「砂浜でゆっくり歩くカメを初めて見た。大きくてびっくりしたけど、目がビー玉のように輝き、くりっとしてかわいかった。また、機会があったら見てみたい」と話した。弟の樹一郎さん(同小1年)は「今日、ウミガメがいてびっくりしたよ。うれしかった。そしてゆっくり海にかえっていったよ」と、夏休みの思い出として日記に書いた。

 嘉陽さんは「9月ごろまで産卵が続く。昨年から続くコロナ禍で村内海岸でキャンプや釣りをする行楽客が例年より増えている。7月の連休には、産卵巣のすぐ近くでテントが張られているのが見られ、注意を受けた事例もあった。カメが海に戻るのを静かに見守ってほしい」と話した。

 産卵巣の調査棒には、日本語で「ウミガメ調査」、英語で「Sea turtle’s nest(産卵巣)」と明記しており、外国人でもウミガメが産卵した場所と理解できる。
 (新城高仁通信員)