「タイムスリップしたような感覚に」最古の首里城写真 当時の琉球知る機会に


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1877年に撮影された首里城正殿の解像度が高い状態の写真データ。臨時休館の解除後、県立図書館で閲覧できる(原版所蔵者 Hervé Bernard,France)

 県立図書館が8日に公開した1877年の首里城正殿や瑞泉門、崇元寺の写真は、これまで共有されてきた同じ写真よりも解像度が高く、当時の情報をより細部まで得ることができる。首里城再建へ貴重な資料となる。自由に閲覧できる環境が整い、研究者だけでなく、広く県民が当時の琉球に理解を深めるきっかけにもなりそうだ。

 首里城再建で、配置による向きが議論となっている大龍柱も、写真では正面向きであることや形状などが鮮明に見える。正殿2階にある装飾の模様、正殿が写真左側の北殿とつながっている状況、御庭(うなー)の浮道なども詳細に確認できる。瑞泉門や崇元寺の写真にも建造物だけでなく、当時の人々の姿を確認できる。

 8日から同館ウェブサイトのデジタルアーカイブ「貴重資料デジタル書庫」で閲覧できる3枚の写真データは、原本よりも低い画質設定となる。高画質のデータをA3サイズに印刷した写真は、新型コロナウイルスの影響に伴う臨時休館が解除された後、閲覧が可能だ。

 館内パソコンでは高画質の写真データも閲覧でき、関心がある部分を拡大することもできる。

 県立図書館資料班の上原明香さんは「建物だけでなく、人々も写り、タイムスリップしたような感覚になる。歴史研究や、県民の歴史への理解が深まる貴重な資料。大人だけでなく、子どもたちも見て、平成の復元とも見比べてみてほしい」と広く活用を呼び掛けた。