【名護】「自宅も甲子園のように」―。県野球連盟の元北部支部長、比嘉弘一さん(79)=名護市=の自宅の外壁は、甲子園球場を覆うツタ類と同じナツヅタで覆われている。34年前の海邦国体の開催前に視察で甲子園球場(兵庫県)を訪れた際に甲子園の外壁に目を奪われ、近くの植木店で購入した。「野球関係者の知り合いが『甲子園球場のようだ』と言ってくれる。夏も家の中は涼しい」と満足そうな表情を浮かべる。
1987年の海邦国体では、名護市営球場(現・タピックスタジアム名護)で野球の試合が開催された。比嘉さんは名護市実行委員会事務局の副会長として、海邦国体の準備のため本大会前に甲子園球場を視察で訪れた。
甲子園を覆っていたのは緑色のツタ。1924年に完成した甲子園球場は、コンクリートが打ちっ放しの外壁が殺風景だったため、外観を飾るため植えられたという。ツタは甲子園のシンボルとして歴史を刻んできた。2006年に球場の改修のためいったん伐採されたが、09年に再び植栽された。
比嘉さんは名護中、名護高校で野球に打ち込み、NTT入社後も選手として活躍。仕事の合間を縫って北部で野球の裾野(すその)を広げようと少年野球に携わり、40年間北部地区大会などで運営や審判などを務めた。
海邦国体前に訪れた甲子園球場の壮観さに圧倒された比嘉さんは、近くの植木店でナツヅタの苗を購入。その苗を名護市港の3階建ての自宅の裏に植栽すると、徐々に壁をつたい始め、約10年で家の外壁がほぼ緑で覆われた。
外壁を覆うことで室温を下げる効果があり、緑のカーテン(グリーンカーテン)とも呼ばれるツタ。鉄筋コンクリート造りの比嘉さんの自宅は直射日光が当たるが、来客は「いつもクーラーが効いているみたい」と驚くという。
ガラス窓や雨戸まで覆うツタのせん定を欠かさないという比嘉さん。「冬は枯れ葉の掃除が大変だけど、甲子園球場のようで気に入っている」と笑顔を見せた。
(松堂秀樹)