与那国沖の大規模サンゴ礁、群集が大きく広がった要因は? 海底地図で研究進展に期待も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
与那国島南部・比川沖で確認されたリーフトンネル(菅浩伸教授提供)

 与那国島で南北500メートル、東西4千メートルにわたる大規模なサンゴ礁と多数のリーフトンネルが確認された。研究者は地形調査による海底地図を基にした研究の進展を期待するとともに、地元の観光業者は、新たな観光資源の今後の活用に期待している。

 調査に当たった九州大浅海底フロンティア研究センター長の菅浩伸(かんひろのぶ)教授(自然地理学)によると、サンゴは「白化現象も少なく、死んだ群体も少ない良好な状態だ」という。

 サンゴ群集が大きく広がった要因に(1)外海に臨む海域で海水の入れ換えが盛んである(2)島にぶつかった黒潮が海底から上昇して海水をかき混ぜることで水温が比較的低く保たれている(3)島に大規模な河川がなく陸域から土砂が流入しない―を挙げた。リーフトンネルについても「ここまで長く、多く見られるのは珍しい」とした。

 菅教授は「地形を調べて地図を作るのは海洋調査の基礎だ」と指摘。「波が荒い北東部の海域に穏やかな海に生息しているサンゴが広がっている理由など、今後は海底地図を基に地形学的な研究を進めていく。生物学的な研究も進んでいくだろう」と期待した。また「与那国の観光資源の一つとして地域振興の役に立ててほしい」と述べた。

菅浩 伸教授

 今回、確認されたサンゴ礁だが、地元のダイバーの中では知る人もいるスポットだった。

 与那国島内のダイビングショップで働く内山鉄兵さん(41)によると、数は多くないものの、このサンゴ礁を案内するダイビングショップもある。またサンゴ礁は10年程前より広がっている印象もあるという。

 内山さんは「与那国では冬場のハンマーヘッドシャークを狙ったダイビングが盛んだが、サンゴ礁という違った面も知ってもらえたらいいと思う」と話している。
 (安里周悟、西銘研志郎)