「シチマンタル(やってみよう)」の魂込め、鐘の音響く 名護・羽地の「時報鐘」に説明板設置 歴史、後世へ


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国頭郡羽地村経済更正記念時報鐘を鳴らす説明板設置実行委員長の屋比久稔さんら=11月29日、名護市仲尾次の羽地地区センター

 【名護】戦前から戦後、旧羽地村で時を告げて鳴らされた時報鐘の説明板が設置された。旧羽地村の歴史などを後世に伝えることが目的。11月29日に羽地地区センターで除幕・鐘打ち式があり、羽地振興会、各区代表、市関係者らが出席した。

 説明板などによると、1930年代、昭和恐慌から立ち直ろうと羽地村民が一丸となって、経済更正計画に基づいた各種事業などに取り組んだ。このことが県に高く評価され、記念事業として、鐘の製作が決まった。鐘は京都で製作され、1935年に村役場裏の高台に建立。以来、時報を知らせ、村民の精神を鼓舞させたという。貴重な銅製ながらも徴収を免れ、戦火の傷跡を残しながら敗戦後も時を告げ続けた。現在は羽地地区センターの消防団車庫屋上に設置されている。

 説明板設置に向けた実行委員会は今年7月に結成。羽地地区の各区、企業、郷友会なども設置に協力し、約44万円の寄付があった。式典で市長祝辞を代読した金城秀郎副市長は短い期間で設置までの経緯に触れ、「(羽地地区の)行動力と結束力は、時報鐘ができた当初からこの地に根付く『シチマンタル(やってみよう)』魂が体現された結果だ」とたたえた。

 力強く鐘を打ち鳴らした実行委員会の屋比久稔委員長は「羽地の歴史文化を後世に残すことが大切だ」と強調。地域住民や企業の協力に謝意を示した。式典では、設置を祝うかぎやで風の披露、羽地村更正歌のギター演奏などもあった。
 (長嶺晃太朗)