「安田のシヌグ」が巨大壁画に! 400年の伝統行事を表現、Pokke104さんと区民ら協力 沖縄・国頭


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国頭村安田地区公民館に完成した「安田シヌグ」の巨大壁画の前で笑顔を見せるpokke104さん(前列中央)とサポートスタッフ、区民たち=12月14日

 【国頭】国頭村安田地区公民館(上地哲区長)の壁に、国の重要無形民俗文化財「安田のシヌグ」の巨大な壁画が完成した。大きさは横20メートル、縦9メートル。イラストレーターpokke104(池城由紀乃)さん。外壁の一部をキャンパスに見立ててアートを仕上げた。

 NPO法人やんばる地域活性サポートセンター(比嘉明男理事長)と安田区が協力して、安田区に400年近く伝わる貴重な伝統行事として、豊年祈願の儀式「安田のシヌグ」の壁画制作を企画した。古くから伝わる儀礼の内容などが細かく表現され、行事の流れが分かるようになっている。

 作業初日の11月15日に関係者や区民が参加して安全祈願をした。雨天の作業時にはブルーシートや足場の設置などで区民が協力した。pokke104さんの知人のサポートスタッフや制作を聞きつけた村内の人、旅の途中に立ち寄って手伝いをする人もいた。区民や安田小学校児童にも呼びかけ、見学に訪れた人が壁画の筆入れを行うなど、多くの人々が愛着を持って壁画に関わった。

 pokke104さんは、壁画原案の作成に向けてシヌグ関係文献を参考にしたほか、安田区古文化保存会の大城盛雄会長(87)のシヌグ解説に耳を傾けて壁画に生かした。区民との対話も重ねながら意見を取り入れ、多くの修正を繰り返しながら丁寧に描いた。

 12月14日には完成お披露目会と、作業終了お礼祈願が行われた。比嘉理事長は「住民参加型の壁画が完成して感無量だ」と喜んだ。上地区長は「多くの人が観光に訪れてこの絵を見てもらいたい」と願った。この日の参加者で最高齢者の神山坦治さん(82)は「この壁画を見て非常に感動している。安田の歴史の1ページとしてシヌグの里、ヤンバルクイナの里として世間にアピールされることを期待している」とあいさつした。pokke104さんは「この絵が安田のためになり、次のステップにつながればと思う」と話した。
 (新城高仁通信員)