「雨乞いカエル」ずらり約700点 収集した金城さんが東村に寄贈 5月31日まで企画展 沖縄


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金城義信さんが寄贈したカエルグッズを前に来館を呼びかける、学芸員の渡久山尚子さん=6日、東村の村立山と水の生活博物館

 【東】1972年の日本復帰前後の沖縄では、増加する水需要に供給が追い付かず、少雨時には給水制限が度々発生した。元県企業局職員で水不足対策に取り組んできた金城義信さん(86)=浦添市=は、雨乞いのカエルのグッズの収集家で、約700点を長年自宅で保管してきた。自宅の改装でこのほど大部分を手放すことになり、東村の村立山と水の生活博物館に寄贈した。展示を通じて水の大切さを学んでもらおうと、同博物館企画展「雨乞いガエルと水」が開催中だ。31日まで。

 金城さんによると、カエルグッズの収集は1981~82年の326日間にわたった給水制限の際に、数匹の「雨乞いガエル」を先輩職員から差し入れられたことがきっかけという。置物による雨乞いの効果はなかったが、話を聞いた友人や知人らが国内外の旅行や出張時に、土産物として金城さんにプレゼントし続けた。

カエルグッズを寄贈した金城義信さん=8日、浦添市経塚

 金城さんは「カエルは友だちであり、子どものようなものだ」と笑った。寄贈したグッズの活用については「ただのおもちゃではなく、断水を救う願いを込めたもの。教育に役立ててほしい」と願った。

 2020年にカエルの企画展を実施した縁から同博物館に相談し、昨年9月に寄贈した。今回の企画展では、カエルをかたどった置物や陶磁器のほか、復帰後に県内で発生した渇水に関するパネルが展示されている。

 展示に携わった学芸員の渡久山尚子さんは「たくさんのグッズがあるが、一つ一つ表情が違うところを見てほしい」とアピールした。

 読谷村から訪れた渡久地柚香(ゆずか)さん(29)は「カエルをかわいいと思うのは日本だけだと思ったが、海外のグッズを見てそうではないと感じた」と語った。
 (武井悠)