命つなぐ種、熊本へ 「はるかのひまわり」満開


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「はるかのひまわり」をつないで熊本へ元気を届ける西幼稚園の園児と西小学校1年生、担任教諭=7日、伊江村立西幼稚園・小学校

 【伊江】伊江村立西幼稚園・小学校(多賀明彦園長・校長)の校門横の花壇に、園児らが育てたヒマワリが咲き誇っている。このヒマワリは、阪神・淡路大震災に見舞われた21年前、復興のシンボルとして話題になった「はるかのひまわり」。満開のヒマワリが生涯を終えた時、種を採取し、復興を願って熊本の被災地へつなぐ。

 「はるかのひまわり」は、当時11歳だった加藤はるかさんががれきの下から遺体で発見された場所に、大輪の花が咲いたことで話題になったヒマワリだ。

 その種を約10年前に入手した住民の古堅潔さん・直子さん夫妻が同村で営む古堅農園で毎年花を咲かせている。昨年、同校4年生(当時3年生)が授業で同園を訪れた際に譲り受けた種を今年の3月末に植え、園児が植物の成長を楽しみながら育て、花を咲かせた。

 たくさんの花が咲いた今月、担任の棚原まき幼稚園教諭が、絵本「あの日をわすれない はるかのひまわり」の読み聞かせをして、特別な意味を持つヒマワリであることを告げるとともに命の大切さを伝えた。

 園児と1年生は、熊本に転校した千馬美玲さん家族と千馬さんが通う小学校へヒマワリの種を送る。千馬さんと同校の1年生は同級生。園児と千馬さんの2人の弟は一緒に遊んだ仲。「早く元気になってね」などの応援メッセージを寄せ、種を送る準備を進めている。

 震災後、教え子の千馬さんと電話で会話を交わしている棚原教諭は「生きていてくれただけで安心して涙が出た。子どもたちには自分たちでできることを考えて心をつなげられる人に育ってほしい」と話した。

 古堅農園で咲かせた「はるかのひまわり」の種は、5年前の東日本大震災時にも被災地へ送っており、復興の輪をつなげている。
(中川廣江通信員)