池原コレクション1万点超 陶器、古民具、サミット…観覧も可


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陶器に囲まれ、満足そうな笑顔を見せる池原正治さん=沖縄市松本

 【沖縄】もはや趣味の域を超えている。沖縄市知花に住む元県庁職員の池原正治さん(73)が集めたコレクションは陶器や古民具、漆器、沖縄サミット関連など優に1万点を超える。特に陶器は数が多く、1974年に県商工労働部の伝統工芸課(当時)に配属されたことがきっかけで魅了され、40年以上をかけ収集した。5年ほど前に2階建ての一軒家を丸ごと展示場所にし「池原コレクション」(市松本)との名称で観覧可能にしている。

 自身は琉球政府時代の1967年に入庁し、商工畑を長く歩んだ。伝統工芸関係の部署には3回配属され、伝統工芸を県外でPRしたり、窯の整備を補助したりと産業の発展に尽力しながら、陶芸家との親交も深めた。自身の興味も高まり「焼き上がりが待ち切れず、早朝から窯に行き、焼き上がってすぐ手に入れていた」と言うほどの収集家となった。

 陶器部屋には小橋川永弘さんや島袋常恵さん、小橋川源慶さんら壺屋の名工を中心とした抱瓶や湯飲みなどがずらりと並ぶ。古民具部屋も農業や漁業で昔使っていた木の道具や、戦後に戦闘機の残骸で造った鉄製の日用品など多彩だ。漆器や昔の看板、弁当箱などの展示部屋もある。

 沖縄サミット関連の部屋には、自身が99~2001年に県のサミット推進局の次長を務めたこともあり、貴重品が多い。各国首脳の直筆サインの写しや泡盛の記念ボトルなどを展示する。

 コレクションは観覧無料で予約制。池原さんは「陶器の良さが分かるようになるのには10年以上かかったが、作家たちの個性が味わい深く感じる。本当に好きな人に見てほしい」と語った。

沖縄サミットに関連するポスター、記念ボトルなどが並ぶ
昔の農具や日用品などが並ぶ。黒く染まった木の色が味わい深い