首里城の京の内跡と呼ばれる地区で1996年に出土し、詳細が不明だった遺物のうち2点が、中国・南宋(12~13世紀)時代の硬貨「紹興元寳(しょうこうげんぽう)」正規銭と、15~17世紀に制作され、小型の刃物などで絵が彫られた石器「線刻石器」だったことが分かった。沖縄県埋蔵文化財センターが3日、発表した。2点とも県内初の出土で、特に紹興元寳は「背上月(せこうづき)」という種類の三日月の文様が裏側に描かれている。「背上月」の正規銭は出土例が少なく、県埋蔵文化財センターでは国内初の出土の可能性が高いとしている。
平敷昭人県教育長は「2点の発見は国内でも希少性の高い貴重なものだ」とコメントした。
紹興元寳は1131年に鋳造されたもので、直径約3センチメートルの銅などの合金。
約15センチ四方の線刻石器は刃物を研ぐ砥石(といし)として使われていた表面に、帆船や波など、航海の様子が描かれている。航海の安全を願って描かれたと見られる。
これまで北谷町や嘉手納町などでも、航海や海が描かれた石板が出土しているが、石器に描かれているのは初めて見つかった。県埋蔵文化財センターでは「石工や役人が彫ったと見られる」としているが、石器に描いた意図は不明だ。
京の内地区は、琉球王朝時代に祈りや祭事に使われていた場所で、基本的に男子禁制だったいう。今回見つかった石器が祭事に使われた可能性もあるが、詳細は不明だ。
出土品は、21日から5月14日に県埋蔵文化財センターで開かれる「首里城京の内出土品展」で公開される予定。入場無料。
英文へ→Nansong coins, carved stone tools uncovered at Shuri Castle Ruins deemed valuable artifacts