石垣で新種植物「オモトソウ」発見 出現は短期間、発見困難


この記事を書いた人 大森 茂夫
石垣島の於茂登岳周辺で新種発見された、ホンゴウソウ科の菌従属栄養植物の「オモトソウ」(杉本嵩臣さん撮影)

 神戸大学大学院理学研究科特命講師の末次健司さんらは、石垣島の於茂登岳周辺でホンゴウソウ科の新種を発見し「オモトソウ」と命名した。25日の植物分類の国際的な学術誌「Phytotaxa(ファイトタクサ)」のウェブ上に掲載される。末次さんらは今年に入り、やんばるで2種のラン、1種のつる植物と連続して新種を発見している。末次さんは「沖縄の森は豊かで、重要であることを示す」と強調している。

 オモトソウは光合成をせず、根に取り込んだキノコやカビの菌糸を消化して育つ菌従属栄養植物の一種。花や果実を付けるわずかな時期しか地上に現れないため発見が困難で、分布は十分に解明されていない。末次さんは「生態系に余裕があり、安定した森でなければこれらの種は生育できない。肉眼では見えない豊かな地下生態系が広がっている」と解説する。

 このオモトソウは、末次さんの共同研究者の西岡龍樹さん(京都大学農学部学生)が2016年10月、於茂登岳周辺で発見した。末次さんが形態を精査し、近縁種のホンゴウソウとは雄花の先端にある球状の突起の数が異なることを確認した。発見場所の地名から「オモトソウ」と命名した。

 これらの新種は本部町の熱帯ドリームセンターで開催中の「琉球の植物展~国立科学博物館巡回ミュージアムin海洋博」で、パネルなどで紹介されている。8月27日まで。