そっと顔見せた“個性派” ナンバンギセル咲く 名護


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 【名護】初めてこの花を見た人は決して忘れないだろう。なんとも個性的。名護岳周辺でそっと姿を見せた。形がパイプに似ているため、「ナンバンギセル」の名が付いた。

 葉緑素がなく、ススキなどに寄生して根などから吸収した栄養分に依存して生育する。秋、葉腋(ようえき)から20センチほどの花柄を伸ばし、先が五裂した淡紫色の筒状の花が横向きに咲く。

 万葉集で「道の辺の 尾花が下の思い草 今更さらに何をか思はむ」と詠まれた。尾花はススキ、思い草はナンバンギセル。道端の尾花の下に咲いている思い草のように、今更何を思い悩んだりしましょう。あなたのことだけ思っています―との意。

 分布は日本、中国、東南アジアなど。ハマウツボ科。(幸地光男通信員)