新種発見の歴史伝える ヤンバルクイナ、81年捕獲地に看板 国頭・奥間


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「やんばるクイナ発見の里」と書かれた看板を設置した大西浩二さん(左)と上原一夫さん=国頭村奥間

 【国頭】国頭村奥間に、「ヤンバルクイナ発見の里」と書かれた看板が設置されている。看板を設置したのは、1981年にヤンバルクイナの捕獲に成功し、その発見に関わった奥間区の大西浩二さん(67)と辺土名区の上原一夫さん(82)だ。看板は当時、大西さん、上原さんらがヤンバルクイナを捕獲した付近に設置されており、上原さんは「ヤンバルクイナが捕獲された地で歴史をしっかりと伝えていきたい」と話した。

 81年6月、山階鳥類研究所(千葉県)からヤンバルクイナに関する協力の依頼を受けた大西さんと弟の浩健さん。2人は自然保護活動などに取り組んでいた上原さんや橋口健二さん(故人)と捕獲方法や場所を相談しながら、山階鳥類研究所のメンバーと捕獲に乗り出した。同年6月28日、ヤンバルクイナの幼鳥の捕獲に成功した。同年7月4日と82年9月20日には成鳥を捕獲し「新種発見」につながった。

 上原さんによると、捕獲後、山階鳥類研究所のメンバーが大西さん兄弟に「(捕獲した鳥の)名前を考えてください」と相談したという。そこで大西さんら4人は北部地域を指す「やんばる」を名前に入れることを提案したという。山階鳥類研究所内部での議論を経て、「ヤンバルクイナ」と命名され新種として発表された。

 看板は昨年8月に設置された。看板を制作した上原さんは「看板を通して『ヤンバルクイナ発見』につながる歴史をしっかりと伝えたい。看板もきれいに制作できた」と話した。大西さんは「当時、試行錯誤しながら山階鳥類研究所の職員と協力した。ヤンバルクイナの歴史を多くの人に知ってほしい」と話した。