【伊平屋】「星の声援、月の伴走」をテーマに20日、第24回伊平屋ムーンライトマラソン(主催・同実行委員会、共催・琉球新報社)が開催された。935人が出走した大会では、住民の温かい声援を受け、参加者は月明かりを頼りにゴールを目指した。大会をのれん分けした北海道奥尻町・奥尻ムーンライトマラソンの参加者から招待された人や親子で参加して絆を深めた人、海外からの参加者など、ランナーはそれぞれの思いを胸に島を駆け抜けた。
医療従事者を目指し、今年4月に長崎大学歯学部に入学した石川日向子さん(20)は、伊平屋村出身の父・達政さん(51)の誘いを受けて、ハーフマラソンに親子で参加した。達政さんは「娘に対して『今後の人生はマラソンのように多くの困難が待っている。それでも諦めずに自分を信じて人生を歩んでほしい』と伝えたかった」と話す。
日向子さんは、16歳までに6回の手術を受け、幼い頃からの病を克服した。その経験を振り返り「患者に寄り添える医療従事者になりたい。覚悟を示すために大会に参加した」と話す。
マラソン経験者の達政さんは、マラソン大会初挑戦の日向子さんのペースに合わせて走った。10キロ地点で日向子さんはくるぶしと膝に痛みを覚えたが「痛くて走るのがつらかったが、諦めたくなかった」と振り返る。痛みに耐えながら、2時間45分50秒で完走した。
レース後、日向子さんは「無事にゴールできて良かった。これから自分の夢に向かって頑張りたい」と決意を新たにした。
達政さんは「足の痛みに耐えてよく頑張った。百点満点。この経験を今後の人生の糧にしてほしい」とエールを送った。