楕円球に夢乗せて 中部農林高に女子ラグビー部


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県内初の女子チームとして始動した中部農林高校女子ラグビー部の選手たち=2日、うるま市の同校(金良孝矢撮影)

 ラグビー界に巻き起こせ“なでしこ旋風”―。全国でも数少ない女子ラグビー部がことし4月、中部農林高校に誕生した。

女子単独チームの発足は県内初。女子7人制ラグビーは2016年リオデジャネイロ五輪から正式種目となる。顧問の上地淳一教諭(31)は「ここから五輪選手が出てほしい」と夢を描く。
 汗と土にまみれながら、楽しそうな声がグラウンドに響く。チーム名は「Funby’s(ファンビーズ)」。英語のFun(楽しさ)とラグビーを組み合わせた造語だ。女子ラグビーのルールは男子と同じで、タックルなど女子の競技では珍しく激しい接触が特徴。仲村美津紀主将=3年=は「今までやったことがない分、楽しい」と話す。
 タックルの代わりに腰に付けたタグ(ひも)を取る「タグラグビー」の同好会として昨年4月、17人で始動した。同11月、タグラグビーの九州大会で特別賞に当たる「ナイスタグ賞」を受賞。その際、関係者が選手らにラグビーへの挑戦を勧めたこともあり、本格的にラグビーの練習に取り組むようになった。1年間の実績が認められ、本年度から部に昇格が決まった。
 小学校の授業などでタグラグビーを経験したメンバーもいるが、中学の部活はバレーやテニス、吹奏楽など、ラグビーに関しては初心者ばかり。最初は楕円(だえん)球の扱いさえおぼつかなかった選手たちも、今では力強いタックルや素早いステップで駆け回り、上達ぶりが見える。
 日本ラグビー協会によると、2012年度の女子登録競技者は2836人。前年度比387人増と増加傾向にあるが、高校で女子ラグビー部があるのは茨城県、京都府、島根県、鹿児島県の4校のみ(12年度)で、受け皿不足が課題となっている。中部農林高には現在1~3年生の23人が所属しており、これだけの多さは全国でも珍しいという。
 県内で開催される女子の大会はなく、同協会主催の全国大会も年に2回だけ。同校の取り組みをきっかけに「女子のチームがもっと増えてほしい」と仲村主将。今夏の全国大会で上位に入ること、そしてラガーマンの“聖地”花園ラグビー場に立つのが選手たちの夢だ。
(大城周子)