幻のフウラン開花 やんばる山学クラブ 発見から8年


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
発見から8年目に初めて開花したフウラン

 【名護】2006年に「やんばる山学クラブ」(幸地光男代表)によって11年ぶりに発見され、研究者の間で注目されていたフウランは、その後海洋博公園管理センター植物課の協力で無菌播種で苗を増やし、同クラブのメンバーに配布していたが、その中の幸地代表が育てている苗が今夏初めて開花した。

 フウランは県のレッドデータブックで「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」として絶滅危惧1A類に指定している。
 発見から8年目。幸地代表は2年前に4株を預かり育てていた。開花した花はほぼ真っ白だが、花弁や距(きよ)に赤がさす特徴がある。
 幸地代表は「海洋博の関係者の協力がなければ自生のフウランは絶滅していたかもしれない。本当に感謝している」と話し、またメンバーの一人で沖縄生物学会会員の久場安次さん(元辺土名高校校長)は「やっとここまで来たか、と感無量。これで純粋自生種が守られた」と笑顔を見せていた。発見者の小橋川和雄さんは「ほんとにうれしい。礼を言いたい」と話す。
 海洋博の広報誌「南ぬ風」の2011年冬号の中でフウランの保護と活用について「同じバンダの仲間などと交配試験を行い、いくつかで結実に成功しフラスコ苗を得ることができた」と報告。
 さらに「これらが生長し開花株を登録したら新品種、新属の作出に成功することになる。この種を用い、沖縄発のランとして日本本土、アジア、世界にPRしていきたい」と沖縄産業発展に寄与したいと結んでいる。
 フウランは1995年に仲田栄二さん(植物学)が伊是名島で確認以来、絶滅したのではないかと危惧されていた。しかし同クラブのメンバー6人が北部山中で植物分布を調査中、小橋川さんが発見した。やんばるの山を中心に調査していたが、発見まで5年かかった。これを海洋博の技師らが自生地で生育状況の調査や人工授粉後に結実を待って無菌播種で苗を増やす努力を重ねてきた。その一部を同クラブのメンバーが育て、今夏に初めて開花にこぎ着けた。
 幸地代表と小橋川さんは「今後大事に育て株を増やして地元の山に戻していきたい」と話していた。(幸地光男通信員)