沖縄三越きょう閉店 57年の歴史に幕、惜しむ声相次ぐ


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<きょう閉店>閉店セールでにぎわう沖縄三越=20日、那覇市牧志

 1957年創業の県内老舗百貨店、沖縄三越(那覇市)は21日、閉店し、57年の歴史に幕を下ろす。閉店前日の20日、最終セールの商品を買い求める客や、商品券を使い切りたい会員らでにぎわった。日常的に利用してきた県民からは、閉店を惜しむ声が聞こえた。

 店内ではワゴンセールで高価なアクセサリーなどを積み上げ、客の注目を集める一方、閉店準備を始める婦人服や食品コーナーも。豊見城市の森田篤さん(55)は「小学生のとき、家族と一緒によく訪れ、映画館を利用した。閉店するのは非常に残念だ」と惜しんだ。
 7階レストランは中高年の女性の団体客でにぎわった。「『時間ですから』と追い出されることもない。ゆっくりできる雰囲気が好きでね」。新垣道子さん(88)=浦添市=は毎月2回、模合、同期会で利用していた。すっかり顔なじみになった従業員の心遣いも心地よかった。
 新垣さんは、沖縄戦に看護要員として動員され、犠牲になった私立積徳高等女学校のふじ同窓会の会長。取材を受けたり、さまざまな調整役になったりすることも多い。「県外からのお客さんとは三越前で待ち合わせして、レストランでご飯を食べながら打ち合わせをすることもあった」
 同じ7階にはかつて子どもが遊ぶ場所もあった。金城美和子さん(26)=那覇市=は小学校6年生のころ、映画の帰りに友達と公園で遊んだ思い出がある。「閉店を前にもう一度その場所を見に来たが、何もなくなっていて寂しかった」と話した。