314グラムで誕生の男児退院へ 3120グラムに


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松川日孝ちゃんを抱っこする父親の好孝さん(前列左)、母親のみゆきさん(同中央)と主治医の大城達男・新生児内科部長(後列中央)らスタッフ=南風原町の県立南部医療センター・こども医療センター

 県立南部医療センター・こども医療センター(我那覇仁院長)で昨年10月16日、314グラムの超低体重で生まれた男児が17日に退院する。約6カ月の入院で体重は3120グラムに増え、自力で母乳を吸うようになった。

主治医の大城達男・新生児内科部長によると、500グラム以下の赤ちゃんが元気に退院するのは難しく「本人の生命力が強く、お母さんも頑張ったから」と話す。順調に退院する事例としては、県内で最も小さいとみられる。
 男児は那覇市の松川好孝さん(36)、みゆきさん(33)夫妻の第2子・日孝(はるたか)ちゃん。日孝ちゃんは子宮内で発育が止まったため、通常より約4カ月早い妊娠25週で帝王切開により生まれた。体重は同じ25週で生まれる胎児の半分以下だった。
 約9週間は保育器内で人工呼吸器を付けて、点滴と体内に通した管から栄養を摂取していた。触ることはもちろん、音を立てることも禁止。みゆきさんは「あなたは強い」と心の中で念じたという。
 搾乳して毎日病院に届けたみゆきさんが初めて日孝ちゃんを抱っこしたのは12月13日。「夢のようだった。軽過ぎて感覚が分からなかったけれど命の重さを感じた」と振り返る。ガラス越しに対面した、お姉さんのななかちゃん(5歳)も「大きくなりますように」と声を掛けていたという。
 懸念された症状もなく元気に成長した日孝ちゃん。好孝さんは「小さいがゆえにリスクはあるが頑張っていこうと思った。生まれてくれてありがとうと思った」と振り返る。みゆきさんは「同じように小さく生まれた子やその家族の希望になるために生まれてくれたと思う」と話した。