残波岬に新種植物 嘉弥真さん発見「ザンパシロミルスベリヒユ」


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発見した新種のザンパシロミルスベリヒユを手にする嘉弥真国男さん=1日、西原町

 【西原】植物研究家の嘉弥真国男さん(74)=西原町=はこのほど、読谷村の残波岬にしか自生していない、シロミルスベリヒユの仲間で新種の植物「ザンパシロミルスベリヒユ」を発見した。

発見場所の残波岬にちなんで嘉弥真さんが命名し、沖縄生物学会誌5月号で発表した。
 ザンパシロミルスベリヒユの特徴は、花びらの先端がとがっているシロミルスベリヒユに比べ丸みがあり、花は杯状に咲く。さらにめしべが通常三つのところ、「ザンパ-」は六つあり、種ができる子房も普通は三つのところ五つある。そのため種が2500個ほどあり、従来の2・5倍多い。
 嘉弥真さんは「潮風や荒波が吹き付ける岩場に育ち、厳しい環境だからこそ、子孫をたくさん残すために進化したのではないか」と分析している。
 また、残波岬周辺には今回発見された種類のミルスベリヒユしか自生していないという。
 これまでタチアワユキセンダングサ(方言名サシグサ)など、多くの新種の植物を発見している嘉弥真さんだが「これほど苦労したものはなかった」と話す。
 1996年ごろに残波岬で今回命名したザンパシロミルスベリヒユを見掛けたが、採取できずにいるうちに台風で一時姿を消した。何度も通い、探し続け、2006年に再発見。自宅に持ち帰り研究を重ね、ようやく発表するのに十分な資料が整い、このほど論文にまとめた。
 見た目は色も形もシロミルスベリヒユと同じで、一般の人は区別がつきにくいというが「生まれ育った八重山で自然と触れ合ってきた原体験が、植物の見極めに影響しているのかもしれない」と笑った。