本部近海で国内初のベラ確認 美ら島財団、雌も世界初同定


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(上)国内初記録となり和名「ユウモドロベラ」と提唱されたベラ科の雄(下)世界で初めて判明したその雌(沖縄美ら島財団提供)

 【本部】本部町瀬底島近海で採集された魚類が、国内初記録のベラの一種(学名・シーロドンマルガリティセルス)であることを、沖縄美ら島財団(本部町)の宮本圭氏らの研究グループが明らかにした。これまでインドネシアやフィリピン、台湾で少数の報告があるのみで、同種の北限記録。さらに雌の同定が世界で初めて確認された。30日、沖縄美ら島財団が発表した。

 今回の初記録について、宮本氏は「県内近海の生物多様性の高さを裏付けるものだ。今後も多くの新種の発見、報告が期待される」と述べた。学術雑誌「Zootaxa(ズータクサ)」に掲載予定。
 本部町の夕日を形容した歌「ゆうもどろの花」にちなみ「ユウモドロベラ」の和名を提唱した。芭蕉布の作詞者吉川安一さん(名護市)が、明け方を表す「あけもどろ」にかけて本部町の夕日を「ゆうもどろ」と表現した。魚の赤みがかった体色が海に沈む夕日を連想させ、由来となった。
 2014年8月、本部町の釣り人が「見たことのない魚が捕れた」と沖縄美ら海水族館に持ち込んだ。財団で学術標本として保存し、死亡後に調査した。
 今回判明した雌は、採集記録はあったが種類が分かっていなかった。DNAや生殖腺の解析から雌だと世界で初めて同定できた。
 地元住民からの資料提供を発端に学術成果を発表できたことに、同財団は「市民参加型の生態系研究のモデルに成り得る事例だ」としている。
英文へ→Churashima Foundation confirms a new type of wrasse fish, never before collected for study in Japan