サイパンからウミガメ漂着 国頭村伊地、甲羅にGPS


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GPS装置が取り付けられた後にサイパンから流れ着き、死亡が確認されたアオウミガメ=8月16日、国頭村伊地(嘉陽宗幸さん提供)

 【国頭・本部】絶滅危惧種のアオウミガメの雌がサイパンで産卵した後、国頭村伊地の海岸へ流れ着き、死亡しているのが確認された。

サイパンにいたウミガメが2千キロ以上離れた日本へ漂着した記録は珍しい。ウミガメの甲羅には、米海洋大気圏局(NOAA)のGPS付き衛星タグが付けられていた。アオウミガメの移動経路や生態は未解明な部分が多く、保全につながる貴重なデータとして期待される。
 ウミガメは甲羅の長さ102・6センチ、幅76・8センチの大型。米側への確認によると、6月1日にサイパンで産卵し2カ月半後の8月16日、伊地の海岸で発見された。死因や死亡時刻などは不明だ。
 発見者から連絡を受けた日本ウミガメ協議会会員の嘉陽宗幸さん=国頭村=が同日、琉球大のウミガメ研究会の学生と現場で確認し、沖縄美ら島財団(本部町)が一時保管することになった。放流者の権利を尊重し米国の送付先を確認した上でNOAA側へ送る予定。記録の共有や生態解明が期待される。
 過去には2007年11月にパラオで産卵したアオウミガメ2匹が読谷村の定置網で捕獲された例がある。
 美ら島財団・総合研究センターの河津勲係長は「アオウミガメの移動や生態の特徴が分からないと、どうすれば保全できるのか分からない。記録をどんどん保管していくことが重要だ」と今後も海外の研究機関との情報交換や記録の蓄積を進める考えを示した。(古堅一樹)