【アメリカ】名演奏家の地位築く/県系ピアニスト、ジョン仲松さん


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CDにサインをするジョン仲松さん=リトル東京の日米劇場

 アジア・アメリカシンフォニー協会は4日、本年度の4回目のコンサートをリトル東京の日米劇場で開催した。100人編成の大オーケストラの構成メンバーはアジア系、ヨーロッパ系が半々で、デイヴィド・ベノイトさん(フランス系アメリカ人)が指揮者と総監督を兼ねた。

 同協会は「ジョージ・ガーシュインを祝う」と題して、ジョン仲松さん(36)をゲストに迎え、ピアノ演奏でハイライトとした。800人収容の会場は満杯となり、観客は演奏に酔いしれた。
 仲松さんはカリフォルニア生まれの沖縄系3世。1997年、ピアノ界のノーベル賞ともいわれ、3年に1度開催される第10回バンクライバーン国際ピアノ・コンテストで最優秀賞(ゴールドメダル)を獲得した。アメリカ人では81年以来の快挙で、29歳の時だった。
 6歳の時からピアノの個人レッスンを受け、作曲とオーケストラについては南カリフォルニア大学(USC)でレオナード・ステイン博士から学んだ。アメリカの名門スタンフォード大学でドイツ語を専攻、教育学の修士号を獲得した。
 しばらく高校のドイツ語の教員をしていたが、今ではピアノ演奏家としてプロの道に専念している。3年前にはニューヨークのカーネギー・ホールでリサイタルを開催、好評を博した経歴を持つ。今日では、アメリカのピアノ界の屈指の名演奏家の一人となっている。
 当日のコンサートは前半、オーケストラ出場者全員で「パリのアメリカ人」や世界初公開の「ジャパニース」、ベノイト・トリオで「ジョージ・ガーシュインのヒット・メドレー」などジャズ調の演奏がなされた。後半はほとんどが仲松さんのピアノ独奏で、シューマンの名曲「トロイメライ」などが観衆を魅了した。
 仲松さんの演奏が終わると観客はスタンディング・オベーション(総立ちでの拍手喝采)で声援を送った。
(当銘貞夫通信員)