【アメリカ】言葉や文化の普及に奮闘 カリフォルニア大講師・知念さん


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
カリフォルニア大学アーバイン校で日本語学科の講師を務める知念聖美さん=琉球新報社

 カリフォルニア大学アーバイン校で日本語学科の講師を務めている那覇市出身の女性がいる。知念聖美(きよみ)さん(37)は約90人の学生を受け持ち、日本のアニメや歌手など学生の関心事を引き出しながら授業を展開、日本語や日本文化の普及に奮闘している。
 知念さんは小学校1年まで沖縄で生活し、その後父親の仕事の関係で千葉県へ。小学校を卒業すると家族でロサンゼルスに渡った。中学、高校をそこで過ごし、カリフォルニア州立大ドミンゲズヒルズ校を卒業、さらに同大ロングビーチ校で修士課程を学び、ピッツバーグのカーネギーメロン大学で博士課程を終えた。その間、東京で就職も経験した。

 アーバイン校の日本語学科には知念さんを含め、日本人4人とアメリカ人1人の講師がいる。知念さんは1年生を担当。学生は半分以上が中国、韓国、ベトナムなどアジア系で、ほとんどが日本のアニメの影響で学びにきているという。日本に旅行したいという学生も多いことから、交通、通貨、宿泊などについてのトピックもいろいろ用意する。
 家族のことや1日のスケジュールが話せるようにと授業を工夫。「まず文法ありき」ではなく、話すことから入り、自然に文法も身に付けてもらう方法を取っている。「学生の知識欲が旺盛なため、あらかじめ調べることも多い」と忙しい毎日のようだ。
 授業のかたわら、研究活動も続ける。テーマは「継承日本語」。アメリカに住む日系人がどういう過程で日本語を学ぼうとするかの研究だという。多種多様な人種が住むアメリカでは、ルーツに絡んで「継承学習者」の教育の必要性がいわれている。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)ではいま試みの段階ながら、日本語の継承学習者のためのクラスづくりがなされているという。
 自身が育ってきた環境から、この分野に興味を持つようになったという知念さん。「小学校1年までしかいなかった沖縄のことを知らなすぎる。自分のルーツを大切にしなければと思うし、将来どのように沖縄にかかわっていくかも考えていきたい」と話した。
 現在大学は夏休みに入っており、知念さんは沖縄を訪れている。このあと東京や名古屋などに足を運び、資料収集なども行う予定。9月以降はアーバイン校で1年生と2年生を教えることになっており、そのカリキュラムづくりにも精を出す毎日だ。