【アメリカ】県が2世元米兵調査/沖縄戦従軍


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元2世通訳兵のケン・アクネさん(鹿児島県2世) から説明を聞く調査員(左側)

 第2次世界大戦の末期、沖縄では激しい地上戦が繰り広げられ、多数の民間人も戦闘に巻き込まれ犠牲となった。食料や水の供給もままならず、傷つき、病に侵されながら、乳飲み子を抱え、あるいは老人をかばいながら戦火の中を逃げ惑った。壕の中で身を潜め、明日の命の保証もない悲惨な状況に置かれていた。
 このような中で、アメリカ国籍の2世通訳兵や語学兵たちは、自らの危険も顧みず、日本語の能力を駆使し、壕や洞くつ、墓などに避難していた多数の沖縄の人々を安全な場所に誘導、保護した。

 沖縄県は来年実施する第4回世界のウチナーンチュ大会のプレ・イヤー・イベントとして、これらの兵士を表彰することを決定、2人の調査員をロサンゼルスとサンフランシスコに派遣した。
 わが身の危険も顧みず救出にあたった2世通訳兵・語学兵の活動がなければ、命を永らえられなかった多くの県民がいた。彼らはまた、戦後の県民生活の安定、復興にも多大な貢献をした事実も判明した。しかし、彼らの存在、行為は近年ようやく明らかにされてきたものであり、アメリカ国籍を持ちながら“日本人の心”で果たしてきた人道的かつ崇高な行為に対し、1日でも早く感謝の気持ちを伝えたいと沖縄県は考えた。しかし、戦後半世紀以上も経過した今日、感謝状贈呈の対象となる2世通訳・語学兵の存在確認が極めて困難と考えられ、県は彼らの所在確認の調査を沖縄計画機構株式会社に依頼。代表取締役の阿部斉さん、同社職員の末吉司さんの2人が9月初めにロサンゼルスの日系博物館などで史料調査に当たった。
 沖縄県人会の山城春雄、比嘉朝儀、当銘貞夫・愛子氏が同行、調査に協力した。9月末を目標に名簿作成を完了、感謝状の贈呈式を来年初めに予定している。
(当銘貞夫通信員)