【アルゼンチン】日本料理店続々出現/“雨後のたけのこ”50軒


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最近アルゼンチンで増えてきた日本料理店=ブエノスアイレス市内

 アルゼンチンに5、6年前までは4、5軒しかなかった日本料理店が、いつの間にか雨後のたけのこのように出現しており、ポルテーニョ(ブエノスっ子)たちの味覚に加えられている。店で威勢よく働いている職人を「スシ・マン」と呼び、職人が人気者になっている。
 この「スシ・マン」は給料も高く、社会的にも高いクラスに属しており、あちこちから引っ張りだこだ。在亜沖縄県人連合会のレストランも例に漏れず、この「スシ・マン」を使って毎日開店している。

 肉食のアルゼンチン人が、どうして日本食を好んで食べるようになったか、知る由もない。ただ人々の話によると、日本食は長寿の元になると思われているということは、確かなようだ。
 今、日本料理店は50軒以上はあるといわれている。ブエノスアイレスの日本料理店の一つに県系人経営の店もある。経営者は宜野座村出身の伊芸幸子さん。娘婿を支配人に置いて経営している。開店からまだ6カ月で、料理人は日本へ出稼ぎに行って習ってきた人という。客はほとんどが“外人”(アルゼンチン人)だ。
 料理が外人向けに作られている所もあるが、伊芸さんの店は立派な日本料理店。出されている刺し身やみそ汁などの味はまさに一級品で、何ら日本と変わらない。それでも外人が大勢店に入ってきて、江戸前にぎりや刺し身などを注文している。
 この調子で行くと、今までは洗濯屋(クリーニング店)が主な仕事だった県人社会が、日本料理店経営に変わって行くのも、そう遠くはないだろうとみられている。というのも出稼ぎで日本に渡っている日系人は約1万人といわれているからだ。この人たちが帰ってきて、店を開く可能性があり、客にとっては夢が膨らんでくる状況だ。
(新垣善太郎通信員)