ワクチンにまつわる陰謀論 モバプリの知っ得![138]


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新型コロナウイルスに対抗するワクチンの接種が進んでいますね。しかし、ワクチンに対する誤情報やデマ、陰謀論などもネット上で拡散されています。「ワクチンを接種すると妊娠できない体になる」といったものからスタートし、「ワクチン接種で身体にマイクロチップが埋められ追跡される」「ワクチンを打つと腕に磁力が発生する」といったデマも存在します。

情報があいまいだったり、命に関わる重大な問題になると、誤情報やデマが拡散しやすくなります。残念ながらSNSやネット掲示板、あるいは動画サイトなどの情報※1がそれらに加担することも多く、「フェイクニュース」の時代であることを物語っています。

 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

動画サイトで一度あるジャンルの動画を視聴したり、SNSでいいねをすると、インターネットはそれを覚えて似たようなものをお勧めしてきます。それらは、事実に基づかない情報だったとしても、そのような誤情報を何度も目にすると「本当に起こっていることだ」と錯覚してしまいます。それは最終的に「真実をメディアは報じない!」として、人々のメディア不信に陥らせてしまいます。(もちろんメディアが報じないのは、事実に基づかないので当たり前ではあるのですが…)。ネット上の噂を信じて、加速度的に陰謀論を信じてしまう。この現象を「エコーチェンバー」と呼びます。

「難しくて退屈な事実」よりも、「シンプルで分かりやすい嘘」の方が拡散されやすく、さらには映画のように「これを裏で操っているのはあいつだ!」と面白いストーリーが追加されると興味を持って見てしまいます。これを繰り返すと、結果としてありえないデマや陰謀論を信じることになります。こうした「裏で誰それが操っている」という根も葉もないお話を、陰謀論と呼びます。ネットやSNSは誰もが好きなことを書き込める自由さがありますが、同時に陰謀論を書き込んだり、信じたりする人も出てくるということです。

新型コロナのワクチンに関しては強制接種ではなく、「打つ、打たない」を個人で自由に判断できますが、この判断を陰謀論を基に行うと、誤情報が人の命に関わる判断を誤らせてしまう可能性があります。何を信じるかは自由ですが、医学的な根拠を元に考えるのと同時に、ネット上は陰謀論など情報が偏りやすいことを強く意識してスマホ・SNSを利用する必要があります。

 

※1 SNSやネット掲示板、あるいは動画サイトの情報 … ネット検索や動画サイトは、一度検索・視聴した情報を記憶し、次回以降も似たようなものを私たちにオススメしてきます。陰謀論についての動画を見ると、「あなたへのおすすめ」「関連動画」として、陰謀論動画がどんどん出てくるということです。事実に基づかない情報であったとしても、頻繁に見かけることにより「みんな言ってる」、さらには「ネットには情報はあるけどメディアは報じない」となってしまい(事実に基づかないのでメデイアが報じないのは当たり前)、どんどんとありえないことを信じるようになります。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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