芸人から転身! オンリーワンの存在として輝きを放つ情報通<モバイルプリンスさん>◇沖縄芸人ナビFILE.40


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スマートフォンアドバイザーで、インターネットやSNSについての啓発活動にも努めるモバイルプリンスさん。なんとお笑い芸人として活躍していた時期もあり、ナビゲーターの「初恋クロマニヨン・松田正(まつだ・しょう)」さんとの絆は、その当時からつながっていました。

(執筆:フリーライター・饒波貴子)

「沖縄芸人ナビ」は毎週木曜発行の「週刊レキオ・沖縄芸人ファイル」と連動中。毎月第3週のレキオに関連記事を掲載していますのでご覧ください。

2004年、高校生で芸人デビューした経験を持つ(左)モバイルプリンスさん(https://mobileprince.jp)。ナビ芸人の松田正さん(よしもとエンタテインメント沖縄所属 / http://yoshimoto-entertainment-okinawa.jp/)にとって、頼りになるご意見番兼情報通のようです。

調子に乗っていた!? 芸人時代のモバプリさん

モバイルプリンス(以下モバプリ):今は芸人ではない僕ですが、よろしくお願いします。松田さんが持っているiPhone、そろそろ買い替え時期かもしれませんね。

松田ナビ:パッと見て分かるとはさすが! ぜひ機種変更について相談させてください(笑)。僕はお笑いを始めて15年くらいになりますが、最初に接した同世代の芸人さんがモバイルプリンス。今回はあえて当時からの呼び名、「コウ」と呼ばせてもらいます。以前は演芸集団FECに所属していた僕たちですが、「ここが稽古場で道具部屋はあそこ。事務所の下に食堂があるので稽古の合い間に行けますよ」など、いろいろ案内してくれたのがコウ。読谷から出てきた田舎者の僕に、国際通りのことも教えてくれました(笑)。

モバプリ:でも、僕も沖縄市なので大差なかったです(笑)。

松田ナビ:事務所の下っ端同士の絆がありました(笑)。お笑いをやっていた当時の心境から教えてください。

モバプリ:今思うと、いろんな意味で低かったです(笑)。芸人になる前からですが、大きな挫折をしたことのない人生だったんですよ。難しかった高校受験も何とか合格でき、大学にも推薦入学できました。芸人になって割とすぐに参加した「フレッシュお笑い選手権大会」も優勝。当時この大会はお笑いを始めた人の登竜門的なコンテストで、競馬でいうと「2歳G1、朝日杯」のような位置付けでした。

松田ナビ:ごめん、競馬は勉強不足で分からない(笑)。そういう表現になるんだ。
 

モバプリ:そこで勝ちたいと思ったピン芸人の僕は、「一緒に出よう」と知念臣悟さんを誘いました。臣悟さんはまだお笑いを始めていなくて、兄の知念だしんいちろうさんのライブをよく見に来ていた。高校2年生だった僕は年上の先輩に囲まれ見習い中の子どものようだったので、年上でも割と年齢が近い臣悟さんとコンビになりたかったんです。しんいちろうさんの弟だからツッコミができるだろう、とも思いましたしね。

高校時代“チョコゼロで地味”だった男がイケメン芸人&ドラマ主役を手にするまで
<知念臣悟さん> ◇沖縄芸人ナビFILE.19

https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1064067.html

松田ナビ:順調な活動だけど、どういう挫折につながるの?

モバプリ:最初のフレッシュお笑い選手権、フリーの大学生だった初恋クロマニヨンさんに負けたんですよ。堂々としていた初恋さんに比べると僕は緊張であたふたしていたので、悔しさはあまりなかったです。その次の年に優勝できて、FM沖縄の番組でミニコーナーをやらせてもらったり、結構トントン拍子だったんです。その時を振り返ると、初恋さんに国際通りを案内するとか自分は調子に乗りまくっていたな~と思えます。

松田ナビ:僕はそうは思わなかったよ、でも、「コウは調子乗り」と言う先輩が結構いた(笑)。

モバプリ:とんがっていた初恋さんは、先輩たちをライバル視してあえて距離を取り、派閥的な雰囲気を出していましたよね。

松田ナビ:事務所に迎合しないぞ、という雰囲気ね。若気のいたり(笑)。

モバプリ:僕も先輩をリスペクトしながら、反骨心で「自分はこの若さでこれだけできるぞ」と自負しているなど、いろいろな要素が重なっていました。その後は自分から先輩たちと距離を取り、自爆を繰り返していろいろと破滅。大学も行かず、「俺はお笑いだけでやっていくんだ!」と姿勢はストロングスタイルでしたが、お笑いもうまくいかなくなったんですよ。続けていると方向性の違いが出てきて、コンビを解消しました。
 

「フレッシュお笑い選手権」で優勝した際の写真。コンビ名は「うりずんマリンハント」で、相方は現在もお笑い芸人や俳優として活躍する知念臣悟=2005年8月

松田ナビ:コンビ名は「うりずんマリンハント」で、2人ともピンになりましたね。元相方の臣悟とその話をした時、闇っぽい陰な雰囲気がしました(笑)。FECを辞めたのは、僕たちよりコウが先!?

モバプリ:そうです。形式的に「辞めます」と言いましたが、実際は逃げたようなもの。周りの人に迷惑をかけて、お笑いも大学も辞めて東京に行きました。上京するワクワク感はありましたが、それ以上に自分を見つめ直す時期になったと思えます。初めて親元を離れましたし、それまで大学もバイトも続かなかった自分が、携帯ショップで働いたことで仕事の面白さや大変さに気付いたんです。東京には2年くらいいましたが、仕事のみの日々でした。

松田ナビ:東京に行く直前までお笑いをやっていて、芸名が「メタボリック比嘉」だったよね!? 世の中がメタボリックという言葉に注目しているころでした。

モバプリ:それで芸名にしたんです。本名の島袋より比嘉の方が音の響きがいいのでその芸名で数カ月やり、沖縄県から仕事のオファーが来ました。でも僕より太っている先輩2人と「メタボリック三兄弟」として集まったら、僕が圧倒的に小柄に見えました(笑)。いざ「比嘉さん」と呼ばれても反応できない事実もありました。

松田ナビ:本名じゃないから耳なじみがない(笑)。
 

携帯電話の啓発活動から誕生した「モバイルプリンス」

松田ナビ:お互いFECを辞めて本土に行ったけれど、連絡など取らずに入れ違いでコウは沖縄に帰ってきた。ある日ネット記事でモバイルプリンスを見て、「これってコウ!? 一体どうした!?」って相方2人と一緒に驚いた記憶があります。モバイルプリンスになったきっかけは?

モバプリ:上京して携帯会社に勤務という流れになった約10年前、料金プランを理解しているお客さまはあまりいなくて、トラブルも多かったんですよ。「啓発や勉強をする場が必要だ」と思いながら働いていたんです。そんな中で元芸人のキャリアを生かし、情報や使い方を教えたらやりがいを感じそうだと思い始めました。2012年から「モバイルプリンス」と名乗っているので、今年10年になります。
 

伊是名島でのスマホ相談会の写真。通信各社の支店がなく、普段聞く機会の少ないスマホについての疑問を聞けるとあって多くの村民が相談に訪れた。2017年12月 伊是名村産業支援センター大ホール

松田ナビ:携帯電話に囲まれた生活ですか!?

モバプリ:5~6年前までは10台くらい使っていました。当時はスマホのクオリティーが低く、電池が長持ちしないとか防水機能があったりなかったりなど、それぞれの良さがあったので比べていたんです。でも最近はスマホの完成度が高いので昔ほどは持っていませんが、今でも5~6台使っています。

松田ナビ:スマホが流行りだしたのが10年そこそこ。モバイルプリンスは、スマホ黎明期から共に歩んできたように思えます。

モバプリ:「スマホの時代が来る!」と計算していたわけではなく、興味からやっていたことが偶然重なったんでしょうね。時代の運だと思えます。

松田ナビ:前例のないものになる時、怖くなかった? 例えばお笑いにはある程度道が引かれ、芸人さんのイメージも世間にある。でもモバイルプリンスは人類初の存在。最初は怖いのではと思えました。

モバプリ:怖さより、やりたいことをやっている感覚です。芸人としての成功はなかったですが、そのころ出会ったラジオ局のディレクターさんはじめ、芸人の僕を覚えてくれている業界の方がいます。そのつながりや芸人の友達が多いことで、わりと早くテレビなどに出られたんですよ。本当は0を1にする作業が大変なはずですが、一番難しいところが乗り越えられたんですよね。そのおかげで、「見た目は変だけど大丈夫な人」と受け入れてもらえたと思っています。芸人活動がプラスに働きました。

松田ナビ:コウはおしゃべりが達者。モバイルの歴史と共にモバイルプリンスの歴史もあり、10年程前にコウと再会したころはモバイルの話ばかりしていました。そんな時期を経て、最近はインターネット環境について注意喚起や啓発的な内容を訴えている印象です。ネット関連は危険な側面が多々あるということですか?

モバプリ:学校で講演会の機会をいただいた時に、スマホやネット関連のトラブルについて相談を受けたんです。本来は学校や教育庁、携帯会社やアプリ業者などが最新情報や注意点を広めるはずですが追いついていないんですよね。そのしわ寄せが子どもたちに行っていると身近に感じ、啓発活動をやった方がいいのではないかという思いに変わってきました。

松田ナビ:ユーザーが増えた分、危険も増えてきたところに着目したんだ。琉球新報の小中学生新聞「りゅうPON!」でコラムを書くなど、子どもたちに気をつけてほしいと訴えている。講演会での子どもたちの反応は?
 

「モバプリの知っ得!」琉球新報Styleで連載中。

https://ryukyushimpo.jp/style/special/entry-480881.html
 

モバプリ:お客さんがいない場所や全くウケないなど芸人時代にいろいろなライブを体験したので、変な度胸がついています(笑)。子どもたちの前に立って最初に「このゲーム分かる人!」ってクイズみたいなのを出すんですよ。そしたら子どもたちはパニックになるくらい騒ぐので、引っ掛け問題にして最初の5分で心をつかむとか、聞いてもらえる工夫をするとか。芸人さんもステージに立ったらお客さまの様子を見ながらペースを調整すると思いますが、それに近いスキルが求められるような気がします。僕は上手にできなくて芸人をやめたので経験が生きている訳ではないですが、メンタリティーは近いと感じます。
 

消費者教育出前講座でSNSのメリットとデメリットについて講演するモバイルプリンスさん=2020年12月29日 那覇市のてぃるる

松田ナビ:子どもを笑わせるのは楽しいし、メンタル面でお笑いと通じる部分はあるかもしれないね。著作の「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」の「13歳」はどこから?

モバプリ:中学1年生です。初めてスマホを持つのはその年代が多く、SNSを使い出してネット上の行動範囲が一気に広がるイメージです。そうなると親は確認が取りづらくなって、リスクが増えていきますね。

松田ナビ:Twitterについても「こういう投稿はどう思う?」と、コウに相談したことがあります。ネットリテラシーが高いので、審査してもらいたい信頼感から電話したんです。チキン野郎の僕は、こんな発言したら嫌なヤツだと思われないかと気にする訳よ(笑)。だからお伺いを立てたんだけど、コウはTwitterでズバズバ言っている。

モバプリ:しょうさんもそういう風に考えるんだ、というのが伝わるエピソードですね(笑)。

松田ナビ:コウは頼もしいな~と周りの人と話しているよ(笑)。Twitterは心情を吐露したり包み隠さず発信したり、特殊な面があるけれどどうとらえている?

モバプリ:めちゃくちゃ難しいですね。Twitterに限らず僕は、「スマホとどう距離を取るか」を意識しています。分かりやすい例でいうと、コロナ禍でネガティブなニュースが増えました。SNSを見ると疲れるので、離れた方がいいと思ってもつい見てしまいがち。イライラしたり苦しくなると分かっているのにムカつきに行っちゃうみたいな。でもそれってメンタルヘルスに影響しますよね。そんな悩みを抱えている子どもがたくさんいますが、若い世代はスマホやSNSなしの生活は厳しい。社会の中に組み込まれていますからね。なので、どう距離を取るのかが課題で、余裕がなくてイラっとしたり落ち込む時は見ないなど距離感の選択が重要だと思います。人によって加減は違うので、試行錯誤をしながら自分の中でSNSの時間を決めるのがいいですよね。僕も最近はあまり投稿せずに見ているだけが多いです。

松田ナビ:あれ!? よく投稿が目に付く気がするけどな(笑)。メンタルヘルス面は僕も当てはまります。最近SNSを見るのがしんどく感じるので見ていないんですよ。僕の中では距離を取った状況だと思っていますが、そういう時はありますか?

モバプリ:ありますよ。これでも一時期より投稿が減ったんです(笑)。僕は周りに良くしてもらっていてSNSで落ち込むことはほとんどありませんが、時間に余裕がない時に限って興味深いことを発見してますます時間がなくなる、といったことがよくあるので距離感を考えます。講演会でも「そういう時は距離を取り、新聞や雑誌を読み散歩に行きましょう」と提案しています。鑑賞中はスマホの電源を切る映画館もいいですよね。スマホに疲れたら他のことに熱中するのが良いと思っています。

松田ナビ:説得力があります。沖縄県警に任命された「サイバー防犯PR大使」は継続中ですか?

モバプリ:2021年3月に任期が終了しました。最初、警察から電話をもらった時は身に覚えはないけど、震えて電話取れなかったんですよ(笑)。那覇国税事務所から「スマート申告納税大使」の依頼が来た時も、同じようにビビりました。王冠を着けているので大使のイメージを持ってくれるのでしょうね(笑)。

松田ナビ:そういう依頼が来るようになったのは最近から!?

モバプリ:はい、名誉職で、報酬も発生せず特別な情報を教えてもらえる訳でもありません。お互いに表に出せる情報を共有しながらの啓発活動です。警察署で講演会の講師を務めさせてもらうことがありましたが、控え室が何と取調室でした!ドラマで見ているのと一緒でしたよ(笑)。

松田ナビ:貴重な体験(笑)! 県警の仕事をするとか想像していなかったのでは!?

モバプリ:そうですね。最近、ネット上の誹謗中傷が問題になっていて、僕のTwitterでもバトルが勃発していると思われがちですが、意外に来ないんです。「県警のサイバー防犯大使やっているコイツとトラブルとやっかいかもしれない」と、考えてしまうのかもしれません(笑)。

松田ナビ:確かに敵は多そうだから意外かも!? でもTwitterでやりあっているのを時々見るよ(笑)。僕のようなチキン野郎はビビってしまうけれど、そんなのは通り過ぎた? 理路整然と返す!?

モバプリ:自分なりのルールを設けていて、まずは先制攻撃しないことを心がけています。仮に意見を言うとしたら、自分よりフォロワー数が多い人に向けてとか。自分の中で「こんなことをやるのはダサい」という基準がいくつかあるんです。そしてフェイクニュースには、「良し悪しと好き嫌いがある」と思っています。例えば「うどんが好きか嫌いか」という話はできても、「飲酒運転は好き嫌い」ではなく良し悪しの問題。人の好き嫌いに言及しても仕方ないですが、「良し悪しと事実」かどうかは大きいです。子どもたちの中に、SNSで好きなアーティストがディスられてたら、自分が否定されたみたいで落ち込む子がいると思うんです。でもそれは、嫌いな人もいるんだなと割り切ればいいですよね。嘘の情報を流す人も多いので、それに対しては間違っていますと言いたい。
 

松田ナビ:でも良し悪しと好き嫌いがごっちゃになっているのが日常だったりもする。徒党を組んで一人を釣り上げたりしている現状に、警鐘を鳴らしているのかな!? 

モバプリ:一概には言えず、差別的な発言をしている人に対して大勢から批判が集まっている場合、その批判は集団リンチになるのかといえば微妙なライン。大勢で批判をするのは「差別を許さない」という観点で良いのではという考えもあるので、ケースバイケースで難しい・・・。どこまでがアウトか線引きが難しく、僕がそれを決められるものでもないので、全員が事象の一個一個に対してどうしたらいいかと見極めて行動すべきだと思いますね。

松田ナビ:その通りだよな~。これまでのケースに当てはまらないこともたくさん出てくる。

モバプリ:芸人さんも気をつけるべきなのが、昔はOKだったボケやいじりの表現が、今は問題になったりすること。ネタの発言で炎上する時は言いがかりっぽいものもあれば、差別的表現でアウトなのもありさまざまですね。

松田ナビ:例えば「お前病院行け!」というツッコミは今までOKだったし、まだ漫才で使っているイメージもあります。こんな風に当たり前だったツッコミのワードが、だんだん使えなくなっていくんだろうなと、身にしみて感じています。

モバプリ:この先芸人さんに求められているのは、ギリギリを攻められるかどうかの線引き。そこが勝負どころかなと思います。初恋クロマニヨンさんは3人なので、うまく役割分担できそうですね。

松田ナビ:責任を分散します(笑)。
 

想像力を持ちながら伝達

松田ナビ:お笑いも見ているだろうけど、最近気になっている沖縄芸人さんは?

モバプリ:ハイビスカスパーティーのちあきさん。今の時代にフィットしている感じがします。

松田ナビ:確かに。パワーがあり芸達者なのでフィットしているかも。

モバプリ:女芸人と言われる人たちのポジションが、変わってくると思うんですよ。『M-1グランプリ』三回戦で「ダウ90000(ダウキュウマン)」という5人組がいました。メンバー全員が劇団員で女子4人、ツッコミ役の男子1人という構成で新しい時代を感じました。ネタはスタンダードな5人漫才ですが、ボケ方がTikTokなどのSNSでよく見る女子あるある。それを漫才に落とし込んでいるのは新しいポジションだ、と思えました。漫才とSNSは笑いの軸の世界線が違う認識でしたが、ダウ90000は混ざっていました。

今の芸人さんの多くはダウンタウンさんの影響を受けていて、ボケの形や発想は松本人志さんにたどり着くと僕は思っているんですね。でもSNSの女子あるあるは、ダウンタウンさんの流れを組んでいない。柳原可奈子さんや横澤夏子さんが先駆けの系譜だと感じています。
 

松田ナビ:確かに女子あるある的な笑いの発想は僕にはなくて、おじさんだから敬遠もする(笑)。今さら漫才に組み込めないし、そういう人たちを見るとかなわないと思ってしまいます。例えば漫才に「Wi-Fi」というワードを入れようと思っても知らない人がいるかもしれない、「TikTok」の話も通じないお客さんがいるだろうと考えてためらうくらい。それらが当たり前にある世界で育ってきた人たちは強いと思うし、ネタ番組などを見ていると時代の潮目が変わってきたなと感じることはあります。話していると寂しくなってくる・・・(笑)。

モバプリ:『キングオブコント』など、ツッコミが否定をせずに受け入れる芸人さんが勝ち上がっていますよね。偶然もあるでしょうがネットの炎上事案をいろいろ見るにつれ、芸人さんもある意味大変だなと思っています。

松田ナビ:大変さはあるけれど、昔からその時々の人たちが時代にフィットさせてきただろうからね。

モバプリ:約40年続いている漫画の「島耕作シリーズ」も改めて見ると、「めちゃくちゃ最低!」と思える話がありますしね(笑)。『風と共に去りぬ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ほか映画の名作にも指摘があるらしいですし、現在の価値観で過去をさばくのは危険だと思います。作り手が何十年先も評価されるための作品を考えるのは違うでしょうしね。特にお笑いは「バカにしているのか?」とさげすむ対象にとらえられるパターンもありそうです。しょうさんはギリギリのところを攻められるタイプだと思いますが、それすら考えていない人たちもいますからね。

松田ナビ:なるほど! 今度相談させてください(笑)。お笑いを含めいろんなものを見て、さまざまな活動をしているコウのポリシーとは?

モバプリ:想像力を持ちたいです。いろいろな立場の人がいて、たくさんのトラブルもありますから。

松田ナビ:例えばワーッと攻撃してくる人がいたとして、なぜこの人は騒いでいるのか背景を考えたりするってこと? いろんな人の考えに耳を傾ける!?

モバプリ:めちゃくちゃそうです! その人の環境を考え、どんな風に考えているのか知りたいです。まずは誹謗中傷を止めることが大事なので、止めた後に謝ったり事情を聞いたりなど、その人とダイレクトメッセージでやり取りします。保守団体の人の話を聞くと、声をあげられない状況が沖縄にあり疎外感を感じていると話してました。立場が変われば人の扱いは変わリ、同じ主張でも誰に向けるかで受け取られ方が変わります。差別が複合化されるのが現在の構造ともいえるので、想像力を持ち自分なりに咀嚼(そしゃく)して伝えることを大事にしたいと思っています。

松田ナビ:お笑いも人の感情と向き合う行為。笑わせる対象の人はどういう気持ちでいるのかと、最近よく考えるので、僕と近い部分がありそうです。想像力を切らさず、相手を理解する姿勢でいることかな!?

モバプリ:そうですね。もめごとの仲裁役になって、どっちの顔も立てようとしていたら「あれ、両方から怒られているのでは!?」という結果になる時があります(笑)。貧乏くじを引いて僕が一番悪者になっちゃう感じ。でもそんな場合も含め、なぜこの人はこんなことを言っているんだろうと常に考えたいです。

松田ナビ:最後に展望を教えて下さい。

モバプリ:「HikakinTV」のヒカキンさんとコラボしたい。その背景にあるのは、子どもたちにいろんなことを伝えたい思いです。例えば子どもたちに接する機会にヒカキンさんのようなシンボル的な存在の人も来るとなったら、ワクワクして待ってくれるじゃないですか。絶対に言うことは聞くでしょうし、僕の発言も今以上にしっかり考えると思うんです。ヒカキンさんになりたいのではなく(笑)、コラボの機会がほしいです。
 

【対談を終えて・・・】

☆モバイルプリンス☆
同じころにお笑いを始めた同世代の中で、芸人活動を続けているのが初恋クロマニヨン。一緒にやっていた「やーすー」は議員になり、「まきびし」のエピソードを話すのを忘れてしまいました(笑)。先輩でありながら横のつながりを感じるのが初恋クロマニヨンで、信頼しています。今日はしゃべり足りない部分がありますが、安心してしょうさんのインタビューを受けることができました。

☆松田ナビ☆
お笑いをやっているころから知っていますが、スマホやモバイル端末の歴史と共にモバイルプリンスの歴史があり、進化してきたのだと思います。これからもスマホと一緒に進化を続け、完成に向かっていくだろうと注目します。

【プロフィール】

★モバイルプリンス/島袋コウ

生年月日:1987年2月16日
出身地:沖縄市
趣味:NBA鑑賞
特技:ネットウォッチ
Twitter:@mobileprince_PR

★松田 正(まつだ しょう)/ 初恋クロマニヨン

生年月日:1984年8月22日
出身地:読谷村
趣味:ソフトボール/漫画
特技:野球
Twitter:@hatsukoimatsuda

 


 

【インフォメーション】

◆「モバプリの知っ得!」連載中

https://ryukyushimpo.jp/style/special/entry-480881.html

毎週月曜日更新、インターネットやスマートフォンとの付き合い方を、豊富な情報を盛り込みながら分かりやすく解説する人気コラム。
琉球新報発行の小中学生新聞「りゅうPON!」でも同テーマで子ども向けに書いています。合わせてお読みください。
 

◆沖縄芸人土曜16時のネタと企画
~配信では29回目の最前列ど真ん中カメラでよしもと沖縄花月~

日時:1月29日(土) 開場15時45分/開演16時
料金:前売り500円/当日700円/配信500円
内容:ワンコインで、ネタ&企画をダブルで楽しめる公演です。
会場:【よしもと沖縄花月】
  ​那覇市前島3-25-5 とまりんアネックスビル2階 (マップはこちら

お問い合わせ:098-943-6244
公式サイト==>http://www.yoshimoto.co.jp/okinawakagetsu/

 

饒波貴子(のは・たかこ)

那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。